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君とセカンドラブ
第4章 誠一という男
「若いのに、ずいぶんと波乱万丈な生き方をしてきたんだね」
葵を抱きしめながら
ここまでの経緯を話してくれた葵に
誠一は自分がこの女を幸せにしたいと思い始めていた。
「ねえ…今度はあなたの話を聞かせてよ…
私は赤裸々に正直に話したわ
だから、今度はあなたの番よ」
「よせよ…
僕の話しなんてつまらないさ」
「ううん、聞かせてよ
私、あなたの事が知りたいのよ」
ワイシャツの上から
誠一の乳首を見つけて指でクリクリしながら
葵が甘えたようにおねだりする。
「仕方ないなあ…」
出会ったばかりの女だというのに
なぜだか彼女には何もかも話して
もっと自分を知ってもらいたくなっていた。
「僕は君と同じように若くして妻を亡くした…」
話し始めると
今まで誰にも語ったことのない身の上話を
思い出すだけで泣きそうになるかと思いきや
今では懐かしい思い出話のようにスラスラと話せる自分に誠一は動揺していた。
妻の晴海と出会ったのは
自分が働いている商社に彼女が大学新卒として入社してきたことにさかのぼる。
当時、三十代になったばかりの誠一は
すでに営業部では、やり手の部類となっていた。
上司からは、そろそろ身を固めてはどうだ?と
耳にタコができるほど催促された。
しかし、仕事が楽しくて仕方のない誠一は
結婚なんて全然興味がなく。
出来るならば仕事と結婚したいとさえ思っていた。
そこへ「彼女に仕事のノウハウを教えてやってくれ」と上司にペアを組まされたのが晴海だった。
「今日からよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる晴海に
「君も社会人になったのだから
その茶髪を何とかしてもらいたいものだな」と
とりあえずの先輩風を吹かせて晴海を牽制した。
セクハラだのパワハラだのと
何かと指導とハラスメントをごっちゃ混ぜにしてくる昨今なので反発してくるかと思いきや
翌日には見事な黒髪に戻して出社してきたので
『こいつ、いい根性してやがる』と
晴海を認めずにはいられなかった。