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君とセカンドラブ
第6章 思春期の明日香
日付が変わろうとしていた。
母の葵は今夜もコンパニオンの仕事に出掛けて
帰りが遅い。
夜のお仕事だから、それも仕方ないと明日香はため息をついた。
明日香には父がいない。
母の葵が教えてくれた父親というのは
アメリカ軍に入隊していて
横須賀の基地に配属されていて、そこで母と恋に落ちたのだと言う。
アメリカ人と日本人のハーフ…
明日香は手鏡で自分の顔を眺めてみる。
鳶色の瞳を除けば
どこからどう見ても白人女性だった。
ハーフだというのに、白人の血が濃いのか、
よくもまあここまで白人同様になったものだと自分でも驚いてしまう。
それゆえに幼稚園児のころは仲間外れにされた。
父がどんなに立派な男だったかを母から何度きかされても、やはり父親は日本人がよかった。
容姿さえ、周りのみんなと同じなら
疎外感など感じずにすんだのにと恋に落ちた両親を憎んでしまう。
それに白人の血が濃いからか
発育も周りのみんなと全然違った。
小学校4年からブラジャーを必要となるほど胸が大きくなり、身長も飛び抜けて高かった。
だから、クラスメートたちは明日香の事を「ガリバー」というあだ名をつけてからかった。
アメリカンスクールに行きたいと
母の葵に何度もお願いしたが
「ごめんなさい…とてもじゃないけど学費が払えないのよ」と、その話をする度に母に悲しそうな顔をさせてしまうので、我慢するしかなかった。