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天空のBlack Dragon
第2章 "彼"
 確実にあるからこそ「存在」という概念が適用されるのだ。自分にしかわからない何かを存在しているなんて言えないだろう。急に笑い出した私を周囲の人々がおかしな目で見てから顔をそむける。
 私のドラゴンを追うのは諦めた。地上からでは建物が邪魔をしてそのほんのわずか一部しか見えないとわかったからであり、日も暮れてきた。 
 西に傾いたオレンジ色の日差しがドラゴンの体躯を照らし、深い陰影を作っている。また視線を感じた。"彼"がその青い目で私を見ている。"彼"を感じる。わかる。"彼"はそこにいる。

 …今日は帰るか。さっさと帰って妻と息子の顔を早く見たい。

 通勤でいつも利用している地下鉄の駅を目指し、私は歩き出した。
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