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天空のBlack Dragon
第2章 "彼"
 やはり、あれは存在している。ちょっと試してみたくなった私は背中を向けた元部下を呼んだ。
「ああそうだ、小山君。ちょっと…」
「はい?なんでしょう」
「あそこに….」
 あそこにと、ドラゴンを指差してみる。つられてそちらを見た小山君は「なんですか?」と言った。

 やはりそうだ。彼には見えていない。さっきの、私を呼びに来た女性社員と同じだ。

「いや。なんでもないよ。気のせいだ。呼び止めてしまってすまん」
 空に浮かぶドラゴンが見えないか?とは聞かなかった。聞くまでもない。きょとんとしている小山君を解放し、私はドラゴンが見える方角へ歩き出した。
 しかし見えているのに一向に距離が縮まらない。ドラゴンは追いたいが家族の待つ家にも早く帰宅したい。
 私は自分を合理的な人間であると思っている。だからこそあれが、あのドラゴンが何なのか何を意味するのか知りたかった。自分にとっては間違いなくあそこに存在しているのに他人には知覚できない存在。存在?
「ふっ、ははは」
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