この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
天空のBlack Dragon
第3章 描く
顔はわかるが名前が出てこない馴染みの女性キャスターが落ち着いた声で今日のニュースを伝えている。数年前から世界を席巻している新型ウイルス禍について、そして政治家の不正や交通事故やゲリラ豪雨の被害や熱中症にお気をつけくださいとは言っているが、東京の上空にドラゴンが現れたとは一切報じていない。
もしもそんなものが出現したならトップニュースになっている。宇宙人が襲来したかのような大騒ぎになっているはずだ。
チャンネルを変えてみてもドラゴンの話題はなかった。アイドルやお笑い芸人たちのバラエティ番組や音楽番組、いつもどおりの平和がそこにあった。
「パパ。ねえ、遊んでよ」
「ん。何して遊ぼうか」
「うんとね。お絵描きしたい」
甘えてくる息子の相手をしていると、妻の|香奈美《かなみ》が私を呼んだ。
「夕飯だからこっちへ来て。わたしたちもこれからなのよ。あなたも一緒に」
「ああ。すまない」
「たっくん。お絵描きはあとにしなさい。ご飯よ」
「はーい」
もしもそんなものが出現したならトップニュースになっている。宇宙人が襲来したかのような大騒ぎになっているはずだ。
チャンネルを変えてみてもドラゴンの話題はなかった。アイドルやお笑い芸人たちのバラエティ番組や音楽番組、いつもどおりの平和がそこにあった。
「パパ。ねえ、遊んでよ」
「ん。何して遊ぼうか」
「うんとね。お絵描きしたい」
甘えてくる息子の相手をしていると、妻の|香奈美《かなみ》が私を呼んだ。
「夕飯だからこっちへ来て。わたしたちもこれからなのよ。あなたも一緒に」
「ああ。すまない」
「たっくん。お絵描きはあとにしなさい。ご飯よ」
「はーい」