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天空のBlack Dragon
第4章 私にできること
電車に乗り会社へ行き仕事をする。帰宅すれば夫と父親の顔になるが、仕事をしている時間が私の生活の大半を占めている。ごく普通の日常を送るごく普通の成人男性。それが私だ。
私大で経済を学び、卒業後、海外製医療機器の輸入販売を手掛ける企業に就職した。これといった功績もない代わりに大きな失敗もせず、三十八歳で管理職のポストについた。同期の中にはもっと早く出世した奴もいる。羨む気持ちも無くはない。しかしだからと言って野心的な人間というわけでもない。
結婚して子供が産まれて、頭金とローンで購入したマンションに住み、今は二人目の子供が欲しいと思っている。夫婦関係も円満だ。平凡だが問題もない。そんな平凡で平和な私の日常に"彼"が現れた。
その日の午前中の会議で、我が社が親会社に吸収合併されることが役員会で決定したと部長から正式に説明があった。我が社と契約していた複数のメーカーが日本支社を作るにあたり、代理店契約が解除されることが主な理由である。時期は一年後。社員の処遇についてはグループ企業のいずれかに移籍する。と言いつつも、今後、盛大な肩たたきが行われるであろうことは目に見えていた。
私大で経済を学び、卒業後、海外製医療機器の輸入販売を手掛ける企業に就職した。これといった功績もない代わりに大きな失敗もせず、三十八歳で管理職のポストについた。同期の中にはもっと早く出世した奴もいる。羨む気持ちも無くはない。しかしだからと言って野心的な人間というわけでもない。
結婚して子供が産まれて、頭金とローンで購入したマンションに住み、今は二人目の子供が欲しいと思っている。夫婦関係も円満だ。平凡だが問題もない。そんな平凡で平和な私の日常に"彼"が現れた。
その日の午前中の会議で、我が社が親会社に吸収合併されることが役員会で決定したと部長から正式に説明があった。我が社と契約していた複数のメーカーが日本支社を作るにあたり、代理店契約が解除されることが主な理由である。時期は一年後。社員の処遇についてはグループ企業のいずれかに移籍する。と言いつつも、今後、盛大な肩たたきが行われるであろうことは目に見えていた。