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天空のBlack Dragon
第4章 私にできること
 友人の名は山本修二(やまもとしゅうじ)という。高校から美大へ進み、今から六、七年前に出席した高校の同窓会で久しぶりに会った山本本人から、現在は、ある私立大学の芸術学部で講師をしていると聞いた覚えがある。

 初心者用の水彩画セットを購入してみたものの、平日に自宅で画材を広げて絵を描く時間も気持ちの余裕もない。だから週末の休みの時間を"彼"に描くことに費やすことにした。できれば実際の彼を見ながら描きたかったが、"彼"の全容が一番よく見える会社の休憩室まで、画材を抱えて土日にわざわざ出向いて行くのもはばかられた。
 休日出勤している社員に、私が会社で絵を描いている現場をもしも目撃されたらきっと噂になる。私的な用事で会社の建物に入ってはいけないとは内規には書いていないはずだが、禁止されていないからといって誉められる行為でもない。
 私のスマートフォンのメモリには"彼"の写真と動画がある。"彼"を描きながら細部を確認したくなったらそれを見ればいい。ちなみに妻と息子に見せてみたが部長と同様だった。
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