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生贄の 人妻
第6章  突然の電話
硬い会話が続き 社長の顔にやや優和な
表情が浮かび 笑い声を上げ 少しの間が開き

会話が途切れて 社長が時計を見て

「森君 宿は?」

「〇〇ホテルを・・・」
社長に聞かれ答えると

「あそこの料理 旨いんだよな 暫く食べてないな」
独り言の様に言い それを聞きつけ森が

「 社長 今夜のご予定は? 」
社長の目が微かに光ったのを見て

「 宜しければ ご一緒のお食事など 」
森に誘われ 少し間が開いて 

「 迷惑料 貰おうか 」
笑い声を上げ 麻衣に目を走らせ

「 7時位で 良いかな 少しだけ片付けたいから 」

机に向かって行く背中に 深く頭を下げ 1階に降りると
受付には誰も姿が無く 社内も静かな佇まいを見せ
タクシーを呼び ホテルへ向かった
森が 二つの部屋の鍵を受け取るのを見て
麻衣は少し安堵して レストランの予約を取り 
森は麻衣と一緒に部屋に入ると
部屋の隅の椅子に座り 

「 まい!! 」

呼ばれた麻衣は 森に近寄り 傍に寄ろうとした時
前の椅子を進められ 椅子に座って 森と視線を合わせ
歪な顔の中の 大きな目の中に 不思議な光を見て
麻衣は視線を瞳の奥まで 覗くように視線を合わせ続け
瞳の奥に見える 怯えの正体を探っていた
 
・・・私が 口を利かないから?・・・
・・・私が 部長を 嫌ったから?・・・
・・・男たちに 差し出したのを怒っているから?・・・

森が真剣な顔で 口を開いた

「 まい 今夜社長に 抱かれて欲しい 」


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