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生贄の 人妻
第6章  突然の電話

森が話す言葉を聞いた時 立ち上がり 
大黒様を潰した顔を 引っ叩きたい
麻衣は怒りに 顔を歪め 
森の目の奥の悲しそうな表情を見て
もう一度 視線を合わせ 姿勢を正した

「 大事な取引先の 社長なんだ・・・ 」

呟くような言葉の重みに 体が前に出て 
森の話を聞き続け

「 麻衣は 川田の奥さんだよな 」
話が急にそれ 頷いて 森が何を言いたいのか考えた

「 社長が迫ってきたら 逃げて良いから 」
麻衣が首を傾げると

「 川田 一人の奥さんを 演じて欲しい 」
森が麻衣の手を強く握って

「 たのむ!! 」
両手を握った手に頭を付けて

「 頼む!!! 」
もう一度同じ言葉を繰り返し言われ 
麻衣は黙って頷いていた

約束の時間に 社長との会食が始まり
麻衣は社長のグラスに ワインをお酌し
二人の会話に耳を傾け 麻衣に話を振られた時は
軽い受け流しで 森と社長に会話を続けさせ
社長のグラスに気を配っていた
二人の会話が弾み始め 社長の笑い声が出始めた時
食事が終わり 森がもう少し お部屋でどうですか?
社長を誘って ホテルの部屋に入り
ルームサービスの 摘みとワインがテーブルに乗せられ
社長と森が 椅子に腰かけたのを見て 麻衣はベッドに
腰かけ 愛想笑いを浮かべ 二人の会話を聞いていた
社長が麻衣を見て 話しかけ

「 独身? 」

聞かれた麻衣は 左手を上げ 指輪を見せ

「 これでも 私 人妻です 」

「 残念だ なぜ良い娘は 早いのかな? 」

大きな笑いを上げ 麻衣に話しかけ 
麻衣が答えている時 森が携帯を持ち

「 社長 済みません 」

一言、言うと 携帯を耳に当て 部屋を出て行った
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