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The Bitch (ザ、ビッチ)
第6章 2024年3月14日木曜日
 22

『2月17日
 やはり休日出勤のMさんからまた食事に誘われ行く事にした』
『連チャンの誘いは断りずらいしYさんはいないから』

 え、あ、わたしがオックンと偶然に会って…
 あの問題の夜だ…
 え、あ、あの夜に…
 ドキドキがザワザワへと変わっていく。

 あのオックンとの夜…
 それはわたしの心が押し潰されてしまうようなビッケ、和哉からの覆い被さってくる様な彼の想いの強さに…

 そしてビッケへの想いの強さを内心は分かっているくせに、足掻き、藻掻き、潰されそうな想いをあの地震により再び湧き起こってしまったトラウマと、今迄の過去の男関係との『約3か月で飽きてしまう』という、自らのクソビッチな性癖的な衝動を言い訳にして…

 本当の本音は、この先の確実に起こる筈であろうビッケとの年齢差の悲劇が怖くて…
 傷が浅いうちに…
 今のうちに…
 逃げるきっかけにしたくて、オックンという軽い付き合いの元彼を出汁にしてビッケを振り切ろうとしたあの不惑の夜に…
 バレンタインのチョコをもらった職場のMさんという女性と食事に行ったという。

 そしてわたしは、あのオックンとの不惑な夜の事を思い出す…

 あの夜…
 オックンとの不発により心の迷路にすっかりと迷い込み、不惑な心の揺らぎ、動揺を胸に抱きながらもビッケを呼び出し抱かれ、本当の自分の思い…

 それは…
『ビッケ、和哉を愛している』
 という心の奥底に秘め、隠した思い、想いを再認識してしまった…
 あの夜。

 そして…
『あ、はい…つい、このマンションの下を通って…
 あ、いや、通ったら…
 部屋の電気が灯っていたのに気付いちゃってぇ…』

『え、わたしの部屋をチェックしてるの?』

『あ、い、いや、違いますよ、たまたまっすよ、たまたま…
 や、役所の同僚と駅前で食事したんすよ…
 だからその帰りについ…』

『あ、ストーカーじゃん』

『え、あ、いや、違うっすよ、たまたまっすから』

『ふーん、そうかなぁ』」

『あ、いや、マジっす、マジでたまたまっすから』
 等々の、そんなあの夜のビッケとの会話を思い出してきてしまう。

『たまたま…役所の同僚と駅前で食事して…その帰りに…』

 つまり、その職場の同僚が…
 このMさんという女性。

 ザワザワザワザワザワザワ…
 心が一気に騒ついてきてしまう。



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