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The Bitch (ザ、ビッチ)
第6章 2024年3月14日木曜日
 28

「それにこの今の沈黙の意味が分かるかもしれないし…」
 そんな彩ちゃんの言葉に、わたしはなんとか思い直して、その先のビッケのツィートを読んでいく。

 だけど内心は、自分の中に生まれ、自覚してしまった、わたしとビッケの二人の間にあった、いや、わたし自身が勝手に決めた不可侵的なルール違反である…
 ジェラシー、嫉妬心という想いにザワザワと心を騒めかせてきていたのだ。

 そして本音は…
 ビッケの空白の時間の事を…
 彼、ビッケの本心の事を…
 わたしの知らないプライベートの事を…
 知りたいのであった。

『2月24日
 ついにYさんの誘いがきた!』

 あ…

「あら、悠里さん次の日誘ったんですね」
 
「あ、う、うん、そ、そうよ、そう、生理が終わったから呼んだんだっけ…」
 わたしはすっかり動揺していて、その前後の事を忘れていたのである。

 あぁ、そうだわ、そう…
 そしてあの夜、24日の生理明けの逢瀬を思い出してきていた。

『なんかYさんは激しい、生理明けだからもしれないが』
『でもYさんの気持ちが伝わってきて、嬉しい』
『黙って中出して怒られる(笑)』
『責任取るっていった』
『いや、責任とりたい』
『よかった……』

「なんだぁ、ラブラブじゃないですかぁ」
 彩ちゃんはそのツィートを読んで、からかい気味に言ってくる。

「え、あ、もぉ、やめてよぉ」
 わたしも急に恥ずかしくなりつつ、あの夜の会話までをも思い出してきていた。

 それは、ビッケの愛情に抗いながらも、彼を認め、認識し、そんな矛盾した葛藤の想いの事も思い出してきてしまう…
 そしてその葛藤こそが、ビッケへの愛情の思いを認めたが故の事である事も。

 それにあの夜のビッケの吐き出した量は、もの凄く大量でもあった…

 それはつまりは…

 あのМさんとは、そういう事は無かったという意味でもあるのか…

 わたしはそんな事をふと思い、そして、その想いに心が…
 ザワザワ…
 と、また、騒めいてきてしまう。

「あぁ、もうダメだ、ダメだわぁ」
 つい心の声を漏らしてしまい…

「いや、それはやっぱ、悠里さんが変わってきているという、いい事なんじゃないんですかね」
 と、彩ちゃんはしたり顔をして言ってくる。

 だけど、まだ、ビッケの謎の空白の解明には、何も分かってはいないのだ…



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