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The Bitch (ザ、ビッチ)
第6章 2024年3月14日木曜日
 29

『2月27日
 Yさんからお誘いがきた』
『火曜日は滅多に誘われたことがなかったから意外に感じた』
『だからМさんからの食事の誘いは断った』
『だってYさんが優先だから』
『Yさんが一番だから』

 え…

 わたしの心はこのビッケのツィートを読むにしたがってどんどん騒めきが強くなってきていた。

『いや、それはやっぱ、悠里さんが変わってきているという、いい事なんじゃないんですかね』
 彩ちゃんはさっき云ってきたのだが、それは、わたしがビッケに対してはもうビッチさが消えてきつつあるという意味を表しているという事であり…
 そしてそれはつまり普通のデレなオンナに成り下がってきているという意味でもあると思われるのだ。

『2月29日
 今夜もYさんから誘われた』
『1日置きだ、嬉しい』
『そしてYさんのツンデレ振りが強くなってきている』
『嬉しい、それはオレに気持ちが向いてきているのか?』
 
 確かにわたしはあの24日からの自分の気持ちに変化があり、ビッケとの逢瀬のペースが増えた…
 それは週2から週3へ、1日置きみたいな感じに。

 そしてつまりそれはますますデレオンナと化し、ビッチさが消えていくという事であり…
 ただの年上のデレデレなオンナになっていくという事実でもあった。

「あら、ペースが上ったんですね?」
 彩ちゃんはそれも察し、そう云ってくる…
 そしてまた、それが恥ずかしい。

「う…ん、そ、そうなの……」 

『3月1日
 今夜もYさんからの予想外の誘いであった』
『慌ててМさんを断る』
『というか、Мさんをどうしようか』
  
 あ…

『完全にМさんに対して中途半端な状態になっている』
『なぜか、ハッキリといえない』
『いえない自分がイヤだ』

「あ…ら…」
 さすがの彩ちゃんもこのМさんという存在に訝しさを感じ始めてきたみたいであり…

『3月2日
 Yさんとはバスケ大会で明日の夜となり、Мさんと食事に行く』
『やはりちゃんと断れない』
『なぜかハッキリと断れない』
『どうしようか、自分が弱い』

 あ…
 心の騒めきが更に強くなってきていた。

 Мさんて…

 このツィートからなぜかМさんからビッケへの思いが伝わってくるみたいなのだ。

 そしてわたしは本当にそんなМさんという女性の影をビッケからは感じてはいないのだけど…
 

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