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The Bitch (ザ、ビッチ)
第7章 2024年3月17日日曜日
 2

「あ……」
 彩ちゃんのバーの前で愕然としてしまう。

 なぜならば日曜は定休日だったから…

「そうだった…」
 バーの閉まっているシャッターの前で呆然と立ち尽くし、心が一気に揺らぎ、いや、落ち込んでしまう。

 果たして和哉が来るか来ないかは分からないが、その不安感をきっと彩ちゃんが和ませてくれる…
 そんな甘い期待感が崩れてしまったから。

 それになぜか…
『今夜は和哉は来ないだろう…』
 と、勝手にそう思ってしまっていたから。

 そしてそんな思いはわたしのらしからぬ不安感からの思いであるとは分かってもいたから、余計に傍にいて欲しかったから。

 ビッチの、いや、クソ女のビッチの筈だったのに、これじゃぁそこらにいる普通のデレ女と一緒じゃないか…
 と、揺れている自分が情けなく感じ、いや、呆れていた。

「はぁぁ…」
 ため息が漏れてしまう。

 だが、この『バービッチ』の定休日には変わらなく…
 仕方ないから違う店へ、もうひとつの行き付けのワインバーへと足を向ける。

「あ…」 
 だが、このワインバーも定休日であったのだ。

 このついていない事実にガッカリし…
 そしてそんな事実がわたしの弱さを更に煽り…
 更に不安感いっぱいに心が揺れ、落ち込んできてしまう。

 つまりそれは、今夜はもう、いや、もう二度と和哉は現れない…
 そんな勝手な自分の暗い落ち込む思いで心が溢れてきてしまっていたのである。

「もういいや…」

 情けない事に、わたしはすっかりそんな暗い落ち込みの思いに覆われ…

「帰ろうか…」
 と、自宅マンションに戻る事にした。

 コツ、コツ、コツ…
 帰りの夜道に響く自分のヒールの音が心に刺さり…
 急に寂しさ、孤独感に襲われる。

 こんな弱い女、オンナの筈じゃなかったのに…

 男をからかい、嘲笑け、見下し、ヤリマンなビッチ、クソビッチ女の筈だったのに…

 わたしはそんな想いを心で繰り返し、唇を噛み締め、震わせながら…
 コツ、コツ、コツ…
 と、夜道にヒールを響かせながら自宅マンションに帰ってきた。

 チン…
 エレベーターを降り、自分の部屋が目に入ると…

「あっ」

 なんと、部屋のドアノブに…

 中身の入ったビニール袋が引っ掛かっていたのだ。

「あっ、えっ?」

 時刻は11時を過ぎていた…



 
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