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第7章 2024年3月17日日曜日

　5

　まえかわまや…

　マエカワマヤ…

　Maekawa Maya…

　え、Мさん？…

　あの和哉のXに出てくる同僚のМさん？

　Мさんが来た？…

　ドキドキドキドキ…
　わたしの心が一気に高鳴る。

　ザワザワザワザワ…
　わたしの心が激しく波打つかの様に騒めいてきた。

「あ、え、もしか…して？…」
　わたしは戸惑いながらも思わず呟いてしまう。

「は、はい…そのぉ…え、М…です…」

「……………」
　どうやらインターホンの向こうにいるその前川麻耶さん、いや、Мさんには、今のわたしか戸惑いと動揺に揺れているのを見透かされているようであった。

　そして…

『やっぱりマズかった？』
『あの夜からМさんの様子が変わった？』
『やはりちゃんと断れない』
『なぜかハッキリと断れない』
『どうしようか、自分が弱い』
『Мと食事に行く、いや、行ってしまった』
『そして…』
『だけどこの出張はМも一緒なのだ』
『だけど、あの夜を悔いてしまう』
『流れとはいえ…』
『Ｙさんがせっかく近付いてきたのに』
『自分の心の弱さにガッカリだ』
　…という、この前、彩ちゃんと覗いてしまった和哉のＸツイッターでの疑惑の呟きが、一気に心に蘇ってきてしまい、ザワザワとした心の騒めきが更に激しく揺れてくる。

「…………あ、う、うん…」

　わたしはかなり激しく動揺してしまっていた…
　だって、あまりにも予想以上の、いや、思いもしない展開だから。

「あ、あのぉ…」
　前川さん、いや、Мさんはそんなわたしの動揺を見透かしてか…
「え、あ、あのぉ、ぜ、是非、お話をしたい……って…」
　そう言ってくる。

「あ……うん、は、はい……」
　そしてそれは…
　いや、わたしは完全に彼女に主導を握られてしまったという事でもあった。
　
「え、あ…じゃ、じゃぁ、どうぞ…」

　わたしはエントランスホールのロックを解除し、彼女、Мさんを部屋へと導き入れた…

　ドキドキドキドキ…

　ザワザワザワザワ…
　心が高鳴り、騒めいてくる。