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The Bitch (ザ、ビッチ)
第7章 2024年3月17日日曜日
 20

「それにさぁ、もう何回か寝て、抱かれてるんでしょう?
 それじゃダメ?
 我慢できないの?」

 そして素直に負けを認められない、歳上のジレンマに陥ってしまっているオバさんの弱さのコトバ…

「何回寝た、ううん、抱かれたの?」
 醜い、いや、醜悪な嫉妬心からのコトバ…

「え、あ、そ、それは……」

「どうせアナタが必死に迫って抱かれたんでしょう?」
 
「あ、いや…」

「出張中だって、ううん、どうせソレにかこつけて部屋にでも忍びこんで迫ったんでしょう?」

「あ、う、え、い、いや…」

 まるで誘導尋問だ…
 そして全部が図星みたい…
 わたしの中の嫉妬心が一気に昂ぶり、騒めいてしまっていた。

「ふん、だったらさぁ…
 いいんじゃないの、そうやってどんどんと、もっともっと迫って和哉に抱いて、愛されればさぁ…
 そのうちにさぁ……」

「あっ、い、いや、違うんです、そんなんじゃ…
 わ、私は、私はいつまでたっても悠里さんの代わり、身代わりでしかなくって…」

「身代わりって?」

「……だって、いつだって、いつもだって、いつもいつも和哉の中には悠里さんがいて、私なんて和哉の目には写ってなんかなくて…
 悠里さんに会えないから仕方なくみたいな…」

 わたしは本当にズルい…
 その麻耶さんの、そのコトバを、その言葉を彼女自身の口から言わせたくって…
 ギリギリ、まだ、わたしの優位さを言わせたくって…
 こうやって誘導尋問している。

 ズルくて汚い、醜悪な大人のオンナの醜さだ…
 そしてそんな醜悪な嫉妬心からのジレンマのせいで、この麻耶さんと和哉を巡る遣り取りの収集が…
 終止符が…
 落としところが、ますます見えなくなってしまい…
 迷宮に陥って、いや、陥りそうであった。

 心の中ではもう止めて、そしてわたし自身自ら終止符を打ち、収束させたいのたが…
 へそ曲がりな天の邪鬼さと、醜悪な嫉妬心からのビッチなクソ女さが終止符を拒否してくるのだ。

 そしてもう終わりが、終わりの先が見えなくなってしまっていた…


 ピンポーン、ピンポーン…

 その時、インターホンが鳴った。

 それも部屋直通のインターホンである…


 ピンポーン、ピンポーン…

「あっ?」





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