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The Bitch (ザ、ビッチ)
第7章 2024年3月17日日曜日
 22

「とりあえず隠れようか?」
 わたしは部屋の灯りが点いているし、居留守はしたくは無かった。

 このマンションはリビング、ニ部屋のいわゆる2LDK…
 但しリビングはオープンキッチンの18畳で、角に4畳の畳コーナーがあり、そのコーナーは引き戸で閉め切れるのだ。

「とりあえず和哉を上げて、サクッと帰すから、あの畳コーナーに隠れていてよ…」
「えっ…」

「居留守はできないから、それしかないでしょう?」
 と、わたしはキッと麻耶さんを見つめ、そう言い切った。

「あ、はい…」
「その代わり、アナタはしっかり隠れてないとね」
 わたしは有無をも云わさぬ目でそう言う。

「で、でも…」
「大丈夫よ、和哉は一度もその畳コーナーには触った事さえ無いから…
 このリビングとベッドルームしかないから…」

「あ……」

 麻耶さんは、おそらくわたしのこのベッドルームという言葉の嫌味に絶句する…
 そしてわたしはその嫌味がきっかけとなり、いや、わたしの中のまたどうしようもないへそ曲がり的な天の邪鬼で、ビッチのクソ女の顔がムクムクと再びゆっくり沸いてきていたのだ。

「さぁ…」
 わたしは麻耶さんに、おそらくはまた意地悪な目付きをして、その畳コーナーに入る様に促した。
 
 そしてわたしはその畳コーナーの戸が閉まるのを確認して…
「はい…」
 インターホンに応答する。

「あ、か、和哉です…」

 和哉は恐る恐るそう応えてきた…

「うん…あら、ずいぶんと久しぶりじゃないの…」
 そしてわたしの中のビッチさが、そう返していく。

「あ、はい、さっき出張から帰ってきて…」
 こんなわたしのビッチな応えに和哉の声が心なしか小さくなった。

「へ、部屋の灯りが点いていたら…」

「うん、とりあえずわかった…」

 そしてわたしは秘かな心の昂ぶりを必死に抑え、隠し、ドアのロックを外す…

「あ、ゆ、悠里さん」

 ドアを開いて入ってきた和哉の姿に…

 いや、久しぶりの行方不明的な期間を経ての和哉の姿に…

 そしてもう一つ…

 麻耶さんという存在がこの部屋の隅に隠れているという異常なシチュエーションに…

 わたしの心は一気に、そして秘かに、熱く、昂ぶってきていた…

 あと、ビッチなクソ女的な興奮も昂ぶってきていた…
 






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