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The Bitch (ザ、ビッチ)
第2章 2024年2月17日土曜日
 14

「あんっ」

 すっかり興奮し、昂ぶっているオックンは、後ろからわたしを羽交い締めに抱き締めながら、ベッドへと押し倒し…

「ゆ、悠里ぃっ」

 グイッとわたしのカラダを仰向けに返して…

 そして…

「あっ、んっ」
 唇をぎこちなく押し付けてきた。

 これが二人の初めてのキスであり…

 19年越しの…

 彼にとっての念願の昂ぶるキスといえる。

「は、ぁぁ、ゆ、ゆりぃ…」
 ぎこちなく唇が押し付けられ、無理矢理唇をこじ開けようと舌先がまさぐってきた。

 気持ちは分からないでもないのだが…

 わたし達はもう中年の域になった大人の男女なのである…

 このキスはあまりにもぎこちなさ過ぎであった。

 だからわたしは…

「ね、ねぇ、お、オックン、ちょっと…
 に、逃げないからぁ…」
 そう囁きながら、彼の両肩を押し上げて、唇を離す。

「あっ、う、うん」
 そして、初めて彼の気持ちが緩んだみたいであった。

「もうっ、興奮し過ぎよ…
 そんな慌てなくてもいいのよ…」
 とりあえず緊張を解す為にも、微笑みながらそう言う。

「あ、う、うん、ごめん…
 ま、まさか、悠里と…
 まさかゆりとこうなれるなんてって思ったら、すっかり興奮しちゃった…」
 と、恥ずかしそうに下を向きながら言ってきた。

「うん、ま、分かるけどさ」
 本当に、痛いほど分かる。

 あの高校三年生の冬の頃…
 正確には12月初めの頃だった。

 もう少しで高校も卒業という時期ではあったのだが、わたしは、いや、当時のわたし達強豪バスケットボール部は、12月22日から始まる『ウインターカップ』という高校最後の冬の全国大会を控えてまだまだ部活動に励んでいたのだ。

 そしてオックンのサッカー部は残念な事に冬の全国大会予選決勝で敗退してしまい、12月には部活動を引退していた…

 そんな時期…





 
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