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The Bitch (ザ、ビッチ)
第2章 2024年2月17日土曜日
 15

 わたしは、いや、当時のわたし達強豪バスケットボール部は、12月22日から始まる『ウインターカップ』という高校最後の冬の全国大会を控えてまだまだ部活動に励んでいたのだ。

 そしてオックンのサッカー部は残念な事に冬の全国大会予選決勝で敗退してしまい、12月には部活動を引退していた…

 そんな時期…


 突然、例のクラスメイトで親友である『京っぺ』こと稲見京子が…

「ねぇ悠里、あのさぁ、コレ…」
 そう言って『オックン』こと奧山修太からの手紙を渡してきたのであった。

 放課後、屋上で待ってる…

 正に、青春時代そのものの、典型的な告白シチュエーションの内容がそのメモには書いてあったのである。

「えっ?」
 と、わたしが戸惑っていると…

「絶対に行きなさいよね」
 そう京っぺは強く言ってきたのだ。

「でも、面倒くさいし…」

「ダメ、ダメよ、それに断ってもダメだからね」

「え、なんで?」
 わたしは即断るつもりでいるのだが…

「ダメよ、あと約三ヶ月の高校最後を彼、オックンと仲良く過ごしなさいよ…」

「ええ、だってぇ」

「ダメよ、だってもヘチマもないから…
 オックンの想いを素直に受けなさいよ…」

「いや、そんな…」
 確かにオックンのことは嫌いでは無い、いや、あくまでも嫌いじゃないという程度であった…
 ただそれだけ。

「どうせさぁ、大学は彼は仙台、悠里は東京だし、お互いに忙しいんだからさぁ…」
 そうこの時期…
 既に、わたしはスポーツ特待で東京の大学が決まっていたし、彼も仙台の大学がサッカー特待で決まっていたのであった。

「だから最後の青春をオックンと過ごしなさいよ、特にクリスマスは…」
 と、京っぺは強く言ってきたのである。

「え、あ、う、く、クリスマスって」

 そうクリスマス…

 昨年のクリスマスイブに、当時最愛の野球部の彼氏が…
 ランニング中に交通事故に巻き込まれて亡くなったという大事件があったのだ。

 そしてわたしはそのショックに暫くは立直れないでいたのだが…
 この京っぺを始め、周りの友達や、バスケットボール部の仲間の皆から背中を゙押しでもらい、なんとか立直ったという経緯があったのだ。

 あれから一年経つクリスマス…

 その意味は…

 京っぺの言う意味は…

 深くて重い。


 

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