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The Bitch (ザ、ビッチ)
第2章 2024年2月17日土曜日
 16

  あの元彼の突然の交通事故死から一年経つクリスマス…

 その意味は…

 京っぺの言う意味は深くて重い…

 そして、その現実を…

 過去の辛い想いを乗り越えろ…

 そんな意味が込められているのだとあの当時、そう理解した。

 だから京っぺの言う通りにオックンの告白を゙ちゃんと受け止め、そして付き合いを…
 いや、交際をする事にしたのであったのだ。

 それからは『ウインターカップ』が控えていたから練習が厳しく、帰宅も毎日夜遅いし、それに朝練もあって毎朝5時起きというハードな生活だったから…
 学校以外で会うという事はままならなくて、毎日、それもほぼ内容の無いメールのやり取りだけに留まっていた。

 だがやはり、内容が薄い、いつも教室では顔を合わせているとはいえ…
 毎日のメールのやり取りに少しだけ心が和やかに、穏やかに、ハードな練習の息抜き的な存在にはなってはいた。

 そしてそんな日々を過ごし、いよいよ最後の冬の全国大会である
『ウインターカップ』が始まり、会場には京っぺとオックンが観戦にも来てくれた。
 わたしはその大会は絶好調で、後のバスケット雑誌に大絶賛される程に活躍をし…
 そして気付くとその元彼の亡くなったクリスマスイブの24日をあっさり迎えられ…
 そんな二人のおかげであの彼の死という辛い現実を、一年越しに乗り越えられたのである。

 そして『ウインターカップ』ベスト4という好成績を゙収め、12月30日で部活動を引退し、年越しイベントを京っぺとオックンとその他の友人達と過ごし、初めて二人だけで映画デートを゙一度だけ…
 冬休みの最後の日にしたのであった。



「あの時以来だなぁ…」
 ふと、オックンはわたしの上に乗ったまま呟いた。

「え、あの時以来って?」

「ほら、後にも先にも悠里と二人きりになれたのはあの映画デート以来だなぁってさ」

「あら、ヤダわ」

「え?」

「わたしも今同じ事考えていたの」

「え、そ、そうなんだ」

「うん、そうよ…」

 あの映画デート…

 ただ映画観て、食事して帰っただけの唯一のデート…

 だけど…

 あの頃は…

 部活動も引退し、少しだけ心にゆとりが出来たのと…

 なんて事ない内容だけども、毎日交わしていたメールにより…

 わたしは少しずつ…

 気持ちが揺れ始めていた…



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