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The Bitch (ザ、ビッチ)
第2章 2024年2月17日土曜日
 17

 あの頃は…
 わたしは少しずつ気持ちが揺れ始めていた。

 そしてまた、二人でどこかに出掛けたい、そんな想いが募り始めていたのであったのだが…

 2月…

 また全日本アンダーに招集され、再びバスケット漬けの毎日となり、アジアカップ大会出場の為にフィリピン遠征をし…

 帰国後、瞬く間に卒業式を迎え…

 その翌日にはもう大学の合宿所に入らなければならないというハードな日々を送り、そのままオックンとは…
 自然消滅してしまったのであった。

「あの頃の悠里は超ハードで、激動な毎日だったもんなぁ」

「あ、う、うん…」

「それにオレはそういう問題にはとんと奥手でさぁ」

 それは分かっていた…

「だから何も出来ずに、アピールも出来ずに…」

「うん…」

 それもよく分かる…

「でもさ、最後になんとかと思っていた成人式の同窓会にはさぁ、悠里は来れなくってさ…」

 そうあの時もまた全日本アンダーメンバーに招集され同窓会には参加出来なかったのだ…

「でも、30歳の同窓会には参加したわよ」

「うん、だけど今度はオレが九州転勤中で参加出来なくってさ…
 つくづく悠里とは縁が無いんだなぁってさぁ…
 特にこの前の同窓会の悠里のドタキャンで思ったんだ」

 そう、能登半島地震の衝撃でわたしは1月3日の同窓会をドタキャンしたのであった…

「でも…
 今…
 こうしてるじゃん…」

 そう、わたしとオックンの二人は、紆余曲折はあるが…

 今、ヤル、セックスする為にこのホテルにいて…

 そして19年越しのキスを゙していたのだ。

「うん…そうだよな…
 終わってなかったよ…
 いや、終われなかったんだ…」

 その彼の気持ちも、今、大人の女となった…
 いや、あの頃とは真逆な『ビッチ女』となった今は、よおく分かる、理解できている。

「ゆ、悠里ぃ…」
 そして、また再び昂ぶったのか、オックンはキスを゙してきたのである。

 今度は、少し落ち着いて…

 大人の男として…

「あ…お、オックン…」

 そしてわたしは彼の唇を受け入れる…

 彼の…

 19年越しの熱い想いの舌先が…

 愛情が…

 流れ込んでくる。

 わたしの心が震えてくる…

 だが…

 だけど…

 わたし達はあの頃とは違うのだ…

 彼には奥様と子供がいるのだ…





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