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第2章 2024年２月17日土曜日

　20

「あ…う、うん…」

「たまたま、そう、たまたまね、今夜、偶然再会をしてさぁ…
　気持ちが一致して、お互いに昂ぶって、今夜があるだけでさぁ…」

「あ……うん…」

　わたしがそう言うと、聡明な彼はわたしの言おうとする意味をすかさず察知したのだろう…
　ハッ、とした顔になった。

「だからね…
　だけどね…

　わたしも一晩、ワンナイトじゃ寂しいし…
　かといってダラダラ不倫はイヤだし…」

「うん…」

「だからキリのいい…三回…
　三日…
　つまりスリーディズって意味で…」

　これは本音であった…

「あ、う、うん、そ、そうだなぁ…」
　そう呟いてくる。

「あ、だけど…」

「だけど何？」

「ほら、三日、三回じゃなくもっと欲しくなっちゃうかもしれないけど…
　そこは大人のルールとしてさぁ…」

　そうわたしが言うと、彼はジッとわたしの目を見つめてきて…

「ありがとう…
　悠里、ゆりは優しいなぁ…」
　そう囁きながら、再び唇を寄せてきて…
「うん、わかったよ…」
　そして今度は落ち着いて…
　大人の男と女のキスをしてきたのである。

　そう、わたしはなんとか彼、オックンの心に歯止め的な…
『楔、クサビ』を打ったのだ。

　そして、これで、一応は落ち着いて…
　彼に抱かれる事が出来る。

　彼は、青春の忘れモノを取り返し…

　わたしは愛され、愛し、できたら心を、汚れたわたしの心を少しでも浄化して欲しい…

　ビッケとの鎖を切って欲しい…

「あ、ぁぁ、オックン…」
　
「ゆ、悠里ぃ…」

　彼は唇を貪りながら、わたしの胸元に手を運んでくる…

　ようやく熱い夜が始まる…