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The Bitch (ザ、ビッチ)
第2章 2024年2月17日土曜日
 38

「あっ、っくうぅ…ぁぁ…」

「ゆ、ゆりぃっ、あっくっ…」

 わたしは抜かずの二連続の、合計三回目の絶頂感を…
 そしてビッケは爆発的な射精をする。

「ぁ…はぁぁ、ふうぅ…」

「はぁ、はぁ、はぁぁ…」

 わたしはぐったりと喘ぎ、その上にビッケが息を荒げながら汗ばむカラダで覆い被ってきた。

「はぁぁ…」

「はぁ、はぁ、はぁ…」
 その汗ばんでいる彼のカラダが心地よい。

 それもビッケを、和哉を…
 愛しているというひとつのあかしでもあると思われる。

 なぜなら今までのわたしはこの絶頂感に落ちるとまるで男の射精後の様に昂ぶりがスーっと醒めてしまう事が多々あり、そうなると相手の男との触れ合いも会話さえもうっとおしく感じてしまうのだ。

 それがビッケには無い…

 いや違うかも…

 そういう感覚にならなかった男は過去に僅か数人…

 わたし自身が心底、愛したと自覚した僅かな男だけ…

 そしてそれは…

 それが、彼、ビッケ、和哉の事をも愛しているという…

 証しと云えるのかもしれない。


「ゆ、悠里さん…」
 そんな事をふと想いながら、喘ぎ、彼を見ると…
「あ…んん……」
 キスをしてきた。

「あぁ……」
 そして唇を吸いながら、キツく抱き締めてくる。

 あぁ、ヤバい…

 心が蕩けそう…
 いや、溶ろけ、融ろけそうになってきてしまう。

「ゆ、ゆ……り…さ……」 

 そのキスの快感、心地よさ、そして安心感に、カラダの力が完全に抜けそうになってくる…
 そしてビッケはわたしの右手に手を重ねてきたのだ。

 このまま…

 またこのまま、抱かれ、愛されたい…

 そんな想いが湧いてきた瞬間であった。

 あっ、はっ…

 ふと、脳裏に、さっきのオックンの顔が、いや、存在感が浮かんできて…

 罪悪感が…

 そう、ビッケ、和哉に対しての罪悪感がわたしの心を騒つかせてきたのだ。

 あ…

 わたしはビッケに飽きた筈…

 だからオックンと寝たはずなのに…

 いや、オックンとの不発のせいよ…

 だから、だから…

 不惑の想いが騒めいてきて…

「あ、はっ」
 わたしは自らビッケの唇を離し、握られた手を外した。

「あ、ゆ、悠里さん…」

 するとビッケも、そんなわたしの動きに不惑の目を向けてきて…

 いや、見つめてくる…


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