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The Bitch (ザ、ビッチ)
第2章 2024年2月17日土曜日
 42

「でも、なんで悠里さん帰っていたんすか?」
 
「え?……」

 和哉からのその不意の問いに、わたしは…
 言葉に、いや、応えに窮してしまう。

 間抜けな事にわたしはその嘘、ウソの言い訳を…
 心の中で用意していなかったのである。

 そして、オックンとの不意な関係により、結果的だが、彼、ビッケ、いや、和哉に対しての想いや愛情を再確認してしまったが故に、電話に応え、呼び入れてしまっていた訳であるから…

「え…あ…う、うん…」
 言い訳を…返せないでいた。

 すると和哉はジッと、応えに窮して慌てているわたしの顔を黙って見つめてくる…

「………………」

 その無言で見つめてくる和哉に…
 まるで、わたしの心の中の全てを見透かされているようであった、いや、そう感じていた。

 あぁ、まずい…

 言い訳できない…

 なぜか、何を言っても陳腐な嘘、ウソにしかならない様で…
 余計に言葉が出ない。

 すると…

「ふ…」
 突然、そう声を漏らし、いや、笑み?…
 
 いいや、吐息?…

 にこやかな笑顔でわたしの肩を抱き寄せ…

「ふ…ホント、ツンデレっすよね」

 そう囁きながら抱き締め…

「あっ、んっ」
 なぜか耳たぶを軽く噛んできたのだ。
 
「ゆ、悠里さん… 
 そのツンデレさ…大好きっす…」
 そしてそうも囁いてきた。

「ぁ…う、うる…さい…」
 わたしはそう返すのが精一杯であった。

「ふ、ホント、ツンデレっす…ね」

 そして…

 このツンデレという単語、言葉ひとつでわたしの見え透いた嘘、ウソ、不惑さをサラりと流してきた彼、ビッケ、いや、和哉に…

 わたしより9歳も歳下のくせに…

 大人の男を感じてしまっていたのだ。

 く…

 ビッケのくせに…

 和哉のくせに…

 すっかりわたしを見透かし…

 大きく…

 わたしの嘘、ウソを…

 サラりとかわして包んできた。

 普通の男なら…

 しつこく訊いてきたかもしれない…
 
 いや、訊いてくるに違いない。

「はう…ん…」
 
「ホント、ツンデレさんすよね…」

 そして和哉はそう囁きながら、スッとわたしを後ろから抱き寄せ…

「んんっ、っくぅ…」

 まだまだ十分に濡れているわたしの中に…

 挿入れてきたのだ。


「ゆ、悠里さん…大好きっす」





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