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The Bitch (ザ、ビッチ)
第2章 2024年2月17日土曜日
 1

 自分では既にもう、この悪癖の原因と心理的な要因は分かっているのであるのだが…

 だが…

 この想いが沸き起こってしまったらもうダメなのだ。

 修正不能、いや、修正不可能に陥ってしまうのである…

 だから、表面上は仲良く、楽しく、彼、ビッケとバレンタインの夜を過ごし抱かれ、愛されたのではあったのだが…

 年末の年越しの夜の様な昂ぶりは無く…

 いや、あの『能登半島地震』がきっかけで心の奥深くに眠っていたトラウマが蘇ってしまい、そして、その流れでこの悪癖が起きてしまったのだ。

 飽きた…

 冷めた…

 醒めた…

 わけでは決して無いのだが…

 もう自分ではどうにもならない。



『あ、悠里さん、週末は?』
 と、ビッケが帰り際に訊いてきたのだが…
『あ、17,18の土日はバスケの遠征試合なんだわ』
 
『あぁ、そうなんですかぁ…
 じゃあ、とりあえずLINEしますね』

『うん、ごめんね…』
 ウソ、嘘であった。

 今度の土日は通常の練習なのだ…

 咄嗟に…
 そんな嘘を付いてしまったのである。

 そしてこれも…
 わたしの悪癖の始まりの衝動なのだ。

 まずはウソ、嘘を付き…
 徐々に距離を置き始める。

 そうして自然に距離感を、離れていく様に運ぶつもりなのだが…

 過去…

 それは全く上手くはいかなかった。

 上手くいった…
 いや、上手く別れられた試しが無かったのである。

 それはなぜか…

 普通のカップルならば、三ヶ月目という時間は…
 まだまだお互いに熱い時間帯、時期であるはずだから。

 つまりは、相手の想いはまだまだ急上昇している時期なのである…
 そんな時期、時間帯にわたしの想い、心が反比例の如くに醒め、冷め、離れていくのであるから、相手には全くもって理解されないのだ。

 しかも…
 相手側からとしたら、原因不明なのだから。

 だから、いつも…

 別れ際は…

 揉める、揉めてしまうのだ。

 そう…

 わたしは最悪な、こじらせクソ女…


 最悪の『Bitch女』なのである。








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