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The Bitch (ザ、ビッチ)
第3章 2024年2月18日日曜日
 11
 
 そしてわたしは決して彼、オックンの事は怒ってはいないから…
 少しだけガッカリしているだけだから。

「ふうぅ、さっぱりしたっす」
 わたしがスマホを握り締め、そんな思いを逡巡していると、和哉がシャワーから上がってきた。

「やっぱり着信あったわ」

「そうっすか、何回か鳴ってたっすから…」
 そう言う和哉にわたしは、いや、わたしのツンデレな心がムクムクと顔を出してきたのだ。

 そして…

「うん、元カレからの着信だったの…」
 わたしはそう告げる。

 すると…

「あぁ、そうなんすかぁ…」
 と、わたしの予想を反した、軽い感じでそう応えてきたのだ。

「えっ?」
 わたしは逆に、そんな彼の反応に、虚を突かれた感じになってしまったのである。

「え、あ、も、元カレからなのよ」

「そうなんすかぁ…」
 和哉は全く、意に返さない感じで応えてくるのだ。

「う、うん、そう、そうなの…」

 え、な、何で?…

 少しは動揺しなさいよ…

 わたしはそう心の中で思い…
「ほ、ホントはね、昨夜、その元カレと逢ってたのよ」
 そう告げる。

 だが…

「へぇ、そうなんすかぁ…」
 それでもそんな軽い返事を返してくるのだ。

「う、うん、そう、そうなの」

 気にならないのか?…
 と、わたしは思わず聞き返したくて堪らない、いや、聞き返してしまった。

「え、気にならないの?」

「え、だって…」

 すると和哉はバスタオルで頭を拭きながら…

「え、だって、でも、その後悠里さんは僕を呼び出してくれたじゃないっすかぁ…」

「あ…」

「そしてあんなに、うん、さっきまで沢山ヤらしてくれたじゃないっすかぁ…」

「あ…………」

「そんなぁ、ツンデレ悠里さんの作戦には落ちないっすよぉ…
 嫉妬なんて焼かないっすよぉ…」

「……う…………」

 わたしの完敗であった…

 やっぱりわたしは和哉に…

 いいや、既に、とうの昔から…

 すっかり見透かされてしまっていたのだ。





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