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第3章 2024年２月18日日曜日

　13

「あぁ、ホントは帰って欲しくないんすかぁ？」
　
「え、あ、ち、違うからっ、バカっ…
　調子に乗らないでよっ」

「あぁ、すいませんす…
　でも、ホント…ツンデレなんだからぁ」

「もぉ、うるさいわっ」

　だけどわたしは本気で怒ってはいない、いや、怒れなかった…

　だって、本当にそんなツンデレな気持ちだから…

　本当は帰っては欲しく無かったから。


「なんかぁ、今日の悠里さんは可愛いっすねぇ」
　すると和哉が突然笑みを浮かべ、そんな事を言ってきて…
　そして、また、わたしに近寄ってきのだ。

「あっ、もお、うるさい、バカぁ」
　だが、そんなわたしの抵抗は、無駄な抵抗であった。

「あ…」
　なんと和哉は、スッとわたしを抱き寄せキスをしてきたのである。

「ん…」

　まるでそのキスは、ラブラブなカップルの、愛を確かめ合う様なイチャイチャなキスであった…

「ん、も、もおっ、や、やめてよ」
　わたしは必死に抗い、首を振り、唇を離し、そして、キッと和哉を睨んだ…　　　
　の、だが、その睨みは決して睨んだ目付きでは無いのは自覚していた。

「も、もおっ、か、帰りなさいよっ」
　そしてわたしは勢いで、まるで心にも無い言葉を、正反対な想いの言葉を言う。

「あ、はぁい…」

　しかし和哉は、そう軽く返事をしてくる…
　そう、それは、まるでわたしの心の中の全てを見透かしたかのような軽い返事であったのだ。

　そしてわたしを見てくる彼の目に…

『もう本当にツンデレなんだからぁ…』
　という、見透かした想いが写っていた。

　いつの間にか…
　そう、いつの間にかにわたしは完全に和哉に心の中、奥深くまで見透かされてしまっていたのだ。

　いや、今、それを実感した…
　もうわたしの彼への愛情の想い、深さは隠せない。

　そう、いつの間にかに立場が逆転してしまっていたのである…

「じゃあ、明日仕事なんでぇ、帰りますぅ」
　
「あ…う、うん…」

　わたしの心の奥底は、一気に寂しい想いに覆われてしまった…
　だが、絶対に、いや、例え、心の想いを見透かされているとしても、意地でもそれは、本音の想いは口に出したくはない、いや、絶対に出さない。

　じゃないとツンデレどころか…

　本当に…

　わたしはデレデレになってしまうから…

　だから…

　わたしは…