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The Bitch (ザ、ビッチ)
第3章 2024年2月18日日曜日
 15

 ああ、和哉にすっかりヤラれてしまった…
 わたしの心の中にはいつの間にかにしっかりと和哉という存在感が強く住み着いてしまったようである。

 だが…

 だけど…

 さっきも思ったのだが、和哉との未来は無いし、考えられないし、考えたくは無い…
 あくまでもセフレという関係だけで良いんだ。

 だけど…

 だけど…

 今は、いや、今夜だけはまだ…

 それも考えられない…

 うん、いいの…

 明日から、明日からもう一度和哉との距離感を測り、考えていこう。

 うん、そうしなければいけないんだ…


 ブー、ブー、ブー、ブー…

 するとまた再びスマホが着信した。

 あ…

 それは…

 オックンからの着信であった。

 ブー、ブー、ブー、ブー…

 わたしはその着信しているスマホを見つめ、そして逡巡していく…

 この電話は多分、昨夜の寝落ちの謝罪と言い訳の電話には違いない…
 そして今日三回目の着信でもあった。

 これまでの二回、ま、本当に着信には気付いてはいなかったから出なかった、いや、出られなかったのだが、だけどオックンにはそんなわたし側の理由は分からない。

 だから、普通は昨夜の流れならば、わたしが怒って、いや、怒って不思議は無く、そしてそれで電話に出ない、と、思うのが普通である。

 だが、それでもオックンはわたしに電話を゙し続けてくる…

 これはオックンの誠意であり、そして、さっきわたしが思った想い、つまり、わたしとオックン、いや、高校の同級生という関係上、これで、こんな事で拗らせたくはない…
 そんな彼の思いも考え、いや、予想されるのだ。

 だからこそ…
 わたしもできるならば、この電話に出たいし、無視はしたくは無いのだが、今、いや、今夜は、とてもこの電話に出たくは無いのである。

 いいや、例え、仮に出たとしても、どう彼と話せば良いか…
 距離感が分からない。

 そう、距離感が…

「あ…」

 ブー………

 着信が切れた。

 そしてわたしの脳裏にふと…
 距離感という言葉が再び浮かんだ。

 距離感…

 そう、それは和哉との距離感という、さっき思った想いである。

 やはり、和哉との近くなりすぎた距離を、距離感を離し、保つ為には…
 ワンクッションの存在がいるのかもしれない。

 

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