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The Bitch (ザ、ビッチ)
第4章 2024年2月19日月曜日…
 5

「ふうぅん…ま、いいか…
 まぁ、ギリギリね、とりあえず合格かな…」

 そう…
 わたしはとりあえず合格…に、してあげた。
 
「え、合格って?」
 するとオックンは不思議そうな目をして呟いてくる。

 だからわたしはそんな彼の口元に人差し指を当て…
 シーっという意味を込めて見つめ、彼を黙らせた。

 今からはもう、言葉は、余計な言葉は要らないのだ…
 なぜなら、これ以上の会話は、ギリギリのわたしの心を醒めさせてしまうから。

 そしてわたしは先に立ち上がり、バーの出口へと向かう…

 オックンはそんなわたしの動きに慌てて付いてくる感じに急ぎ会計を済まし、エレベーターの前へと小走りでやって来る。

「……………」
 その間、わたしは醒めてしまうのがイヤで無言であった。

 そしてエレベーターが開き、ドアが閉まった瞬間…
 わたしは彼に抱き着き、キスをする。

 わたしにとってキスは大切な、心の、いや、愛の最初の儀式、いいや、愛撫に匹敵するのだ…
 そして自分の心を誤摩化す、覚悟の合図ともいえる。
 
 心を誤摩化す…

 覚悟…

 それは和哉への想いを誤摩化し、もう一度、心のカベを゙築くという覚悟の意味なのだ。

 つまりはわたしのワガママな想いの覚悟であり…
 和哉への想いを誤摩化すということ。


 ううん、なんてことないわ…

 少し前までは、こうして気楽に男を漁り…
 ヤリまくるヤリマン女のビッチだったんだから。

 そうよ、なんてことないのよ…

 ただ気持ち良くなりたいだけ…

 カラダの疼きが鎮まればいいだけ。


 ガチャ…

 わたし達は部屋へ、そしてベッドへとキスをしながら倒れ込んでいく。

 そして更に、わたしは彼、オックンの唇を激しく貪っていく…

 のだが…





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