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The Bitch (ザ、ビッチ)
第2章 2024年2月17日土曜日
 4

「ところでさぁ、悠里一人で?
 あ、待ち合わせなの?…」
 と、京っぺが訊いてきた。

「あ、え、ち、違うわよ…
 ちょっと飲み足らなくてさぁ」

「うひゃあ、ワイルドだなぁ」
 わたしがそう答えると、オックンが言ってくる。

「えっ、あ、ワイルドって?」

「いやぁ、飲み足らないから一人でワインバーのカウンターで飲んでるなんてさぁ…
 ワイルドじゃん…」
 と、笑みを浮かべながらオックンは言ってきた。

「あ、うん、ここよく来るから…」

「そうなんだぁ、いや、ここはさぁ、オレが決めたのよ…」
 今度は栄ちゃんが得意げな顔で言ってくる。

「でもまさか、本当に悠里が居たなんてビックリよ…
 とりあえずここに入ってから悠里の実家にでも電話してみようかって話してたところだったんだからぁ…」
 京っぺが少し興奮気味にそう話してきた。

 どうやら、この前の1月3日の同窓会の時に、この四人で久しぶりに盛り上がり、そして今度はドタキャンしたわたしを誘ってみよう…
 そんな思惑での今夜なのだそうだ。

 だから、今夜のこの偶然の再会は奇跡に近いのだと…
 比較的大人しい山崎雅美さえもがそう話してきた。

「ほら悠里の携番やら何やら変わっちゃってたからさぁ…」

 そうであったのだ…
 わたしは男と別れると携帯番号を変える癖があったのだ。

 特にこじらせて別れた場合は即効番号を変えてしまう…
 そしてついでにメモリーも消してしまう事があった。

 だから、30歳の同窓会の時に10年振りに懐かしいメンツの皆と再会し、番号交換をしたのも…
 その直後の出来事により消してしまったのである。

 過去の数回のこじらせの原因は、ほぼわたしにあるのだが…
 これも悪癖の一つといえた。

「でも、なんにしても再会できたから良かったわぁ…
 さぁ、一緒に飲もうよ…」

「うん」
 確かに嬉しい再会であった。

 そして…

 ビッケへの悩みも少しは和らぎそうだ…




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