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The Bitch (ザ、ビッチ)
第6章 2024年3月14日木曜日
 4

 その不問に対して、逆に、わたしが不惑な思いに揺れてしまったのである…

 これは和哉の作戦なのか?

「そうかぁ…」
 和哉、ビッケはそう呟きながらゆっくりとベッドから起き上がる。

 え…
 やはり、ホワイトデーについてはシカトなの?

 いや、突然の生理に、すぐにホワイトデーの事を思い浮かべてしまったわたしが変なのか?

 あぁ、もう、わたしは…

 わたしはすっかり…

 和哉に溺れてしまっている…

 そう思い、感じ、急に慌てて、そして悔しい気持ちにも…

 いや、違う…

 ホワイトデーに気付いてくれない和哉にすっかり心が揺れ、いや、激しく揺れ動かされてしまっていた。

「あんっ」

 すると…
 立ち上がったと思うや否やであった。

「うそっすよぉ」
 そう言いながら、突然、わたしを後ろから抱き締めてきたのである。

 そして…

「知らんフリなんてうそっすよぉ…
 ええっ、じゃあ、ホワイトデー丸被りじゃないっすかぁっ」
 と、羽交い締めに抱き締めながら、そう言ってきたのだ。

「あんっ」
 きっとわたしは…
 そんな彼の裏腹な態度、天の邪鬼的な素振りに心を激しく揺れ動かされてしまい、そして今度はそんな言葉に嬉しいという想いが昂ぶってしまい…
 心を激しく上下に揺らがらせてしまったみたいであった。

「ほうらぁ、悠里さん、一瞬、僕がシカトしたって思っちゃったでしょう」
 そして耳元でそう囁いてきたのだ。

「そ、そんな…こと…ないもん」

 ウソである…

「えー、それはウソっすよぉ、僕が知らん顔した時に、少しガッカリした顔したっすよぉ」

「し、してないもん」

 ウソである…

「いや、いや、間違いなくしたっすからぁ」

「してないったらぁ、なんで、そんなガッカリしなくちゃならないのよ」
 必死の抵抗であった。

「いや、だって、ホワイトデーっすよ、バレンタインのお返しっすよ…
 世の中の恋人同士のある意味聖夜っすからぁ」

「あ、い、いや、こ、恋人同士じゃないから」
 必死の抗いの言葉であったのだが…

「ふーん、そうなんすかぁ」
 まるで効力がない。

「そ、そうよっ」

「ふ、本当にツンデレなんすからねぇ」
 と、また、云われてしまう。

 この言葉を云われてしまうと、わたしはもう…
 ぐうの音も言えなくなってしまうのである。


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