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The Bitch (ザ、ビッチ)
第6章 2024年3月14日木曜日
 7

「ふ、ウソ、嘘、今、ガッカリしてたっすよ、ホント、ツンデレなんすからぁ…」
 と、羽交い締めのまま耳元でそう囁いてきた。

「えっ、ほ、本当にガッカリなんてしてないからぁ」

 わたしは必死に…
 そう、必死に言い繕う。

 だってホントは少しだけガッカリしたから…
 いや少しじゃないかも…

「あ、いやぁ間違いなくガッカリしてたっすよぉ…
 だってぇ声のトーンがぁ…」

「あぁもううるさい、ガッカリなんてしていませんから…
 それに、元々わたしの声はハスキーで低いのぉ…」
  自分自身でもこの言い訳、言い繕いが恥ずかしくなっていた…

 それとイラ立ち…
 自身のデレ女さにイライラも感じてしまっていた。

「ま、と、いう事なんでぇ…出張でいないんす、寂しいっすよねぇ?」

「あ、ば、バカ、寂しくなんかないわよっ」

「大丈夫っすよ、出張でもラインはガンガンしますからぁ」

「も、もう、寂しくないから、それにラインうるさいからいらないからっ」
 
 ウソであった…
 少し寂しい気持ち…
 そしてあのラインラッシュも実は満更でもなかったから…

「もぅホント悠里さんはツンデレなんすからぁ」

「う、うるさいわよ…」

「寂しいからって、飲みに行ってナンパされないでくださいっすね」

「え…」
 その不意な言葉にわたしはドキっとしてしまう。

「うーん、できればおとなしく家に居て欲しいっす」

「あっ、も、もぉ、うるさいわ、ビッケのくせにっ」
 
 だけどわたしはその和哉の言葉に…
 ドキンと心を揺らしてしまった。

 そして少しザワザワと騒めきも感じてしまう…
 なぜなら…

 あ、やっぱり和哉はわたしを見透かしているのかも?と…

 ここ3ヶ月のわたしの心の揺らぎ、揺れ、そしてオックンとの不惑も全て、見透かしているのかもしれないと…

「うーん、少し心配っすぅ」

「あ…ん…」

 するとそう囁き、後ろからわたしの首をクイッと自分に向け…

 キスを…

 心が蕩けてしまうようなキスをしてきたのであった。

 いや…

 このキスに心は溶ろけてしまったのだ…

 わたしは完全に…

 和哉の意のままに踊らせられているのかもしれない…

 ううん、いや、泳がさているのかも…

 だが、わたしはこの後日…

 もっともっと、不惑な想いに揺れ動いてしまう…

 
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