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淫獄地域枠 リコ先生は村のみんなのお嫁さん
第3章 第2話 寡黙な漁師のマサツグさん(44歳)
「やっぱり釣りは楽しいですねー、私大学時代は海に行ったことがなかったのですっごく新鮮な気分です」
「はははは、敷島先生が海を楽しんでくれて何よりだ! 今日釣った魚はお刺身にして持って帰って貰いますよ!」

 鳥取県の僻地にある中井戸村は日本海に面している関係上昔から沿岸漁業が盛んで、今日の私は海沿いで暮らす漁師さんたちの健康診断という名目で漁船の上で釣りをエンジョイしていました。

 この村でたった2人しかいないお医者さんの一人として暮らしていると仕事中とプライベートとの区別はあってないようなものですが、普通の研修医は勤務中に釣りなど絶対にできないので私は地域奉仕枠の義務ばかりではなくメリットも目一杯楽しみたいと考え始めていました。

「ああー、釣り糸がおまつりになっちゃった。えーと、こういう時は糸を引き上げて……あれっ、何かに引っかかってる?」
「敷島先生……そういう時はね、ここをこう動かすといいんですよ。そうすれば、上手に引き上げられますから……」
「マサツグさんありがとうございます! 流石は海の男ですね、かっこいいー」
「正継さんは無口ですけど気がきく男ですからね! 俺らもいつも頼りにさせて貰ってますよ」

 私の後ろで釣れた魚を仕分けていた漁師のマサツグさんは釣り糸が隣りにいる漁師さんの釣り糸と絡まってしまい困っていた私をさっと助けてくれて、あまり表情に変化のない無口なおじさんですがその心はとても優しいのだと分かりました。
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