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そこのオタクくん座談会来ない? ~秘密のギャル本さん~
第1章 プロローグ 座談会来ない?
 総合商社に務めている父親の転勤の関係で、俺は高校2年生にして大阪府内の男子校から東京都内の共学高校に転校する羽目になった。

 前の高校ではパソコン研究部にしか入っていなかった陰キャ中の陰キャの俺が、共学の高校に途中から入って馴染めるはずもなく……


「うわっ、本当に来たんだ。ごめんねー、私たち|宗日《そうじつ》くんが女の子に誘われたらすぐ来るタイプの子か知りたかっただけなのー。全然意地悪した訳じゃないからねー」
「はあ……」

 いかにも文系っぽい眼鏡っ娘が放課後に近くの公園まで来てくださいと言ったから約束通り行ってみると、そこでは根性の悪い女子グループが待っていて彼女らに命令されていたらしい眼鏡っ娘は遠巻きに俺を見ていた。

 また嫌がらせかと落胆したがこの高校では陰キャに人権などなく、俺が大して気にしていない素振りを見せると女子グループはキャハハと笑いながら立ち去っていった。

 眼鏡っ娘は申し訳なさそうに俺の方に何度も振り向いていたが、彼女は彼女でいじめられている側の陰キャなのだろう。


 苛つきながらも自販機でジュースを買ってベンチに腰掛けたまま飲んでいると、また同じクラスの女が近づいてきた。

 もうちょっと偏差値が高い高校には絶対にいないような金髪ロングヘアのギャルは確か|菱本《ひしもと》とかいう名前で、この高校には明らかな不良生徒は少なく表向き優等生の嫌な奴が多いので見るからにギャルな菱本はあまりクラスに溶け込めていなかった。

 日焼けサロンで焼いているらしい小麦色の肌をした菱本はベンチにもたれている俺をにやにやしながら見ると隣に腰掛け、俺はこんなギャルと座高がほぼ同じであることに劣等感を感じた。
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