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東京佐川お兄さん事件 引きこもりお嬢様の誰にも言えない秘密
第1章 第1話 夏真っ盛りに春が来た
俺の身の回りにいるトラックドライバーは誰も彼も結婚が早いが、俺は27歳でまだ独身のままでいる。
朝早くから夜遅くまで東京都内をトラックで走り回り、たまの休日にはスポーツジムに入り浸ってご高齢の男女と親交を深めているようでは彼女ができないのも当然というものだろう。
同僚からはせめてマッチングアプリでもやれと勧められているが、まだ20代である今は気ままな独身生活を謳歌したいというのが正直な所だった。
そんな俺にも、密かに想いを寄せている女性というのはいる。
「どうもー、パリ急便です。お荷物お届けに伺いました」
『あっ、佐川さんですね。ロック解除します』
高級マンションの入り口のインターホンを鳴らすと、その女性はいつもの清らかな声でオートロックを解除してくれた。
毎回何が入っているのかは知らない重い荷物の段ボール箱を抱えてエレベーターに乗り、玄関先まで歩くと彼女は俺がインターホンを鳴らす前にドアを開けてくれた。
「お疲れ様です、金丸です。いつもありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそすぐ開けて頂いて助かります。ただ、若い女性だと色々危ないので玄関ドアはインターホンを鳴らしてから開けて貰えば大丈夫ですよ。お気遣いすごく嬉しいですけど」
「そうですね……その、早くお兄さんの顔を見たいなって思っちゃって。確かに不用心ですよね」
高めの背丈と腰まで届く黒髪ロングヘアに部屋着とは思えないほどお洒落な洋服を身にまとっているのは|金丸《かなまる》|志信《しのぶ》さんという若い女性で、俺は名前と住所しか知らないがここで一人で暮らしているらしかった。
平日の昼間でも普通に配送を頼まれるのでどうも家事手伝いとか引きこもりと呼ばれる女性らしかったが、俺はこの美しい女性と会って話すのがいつも楽しみだった。
若い女性の一人暮らしというと配送員に警戒する人も多い中で金丸さんはいつも笑顔で玄関ドアを開けてくれて、たまにはちょっとした世間話をしてくれる仲になっていた。俺より歳下だからなのか、彼女は俺のことを「お兄さん」と呼んで慕ってくれていた。
当然セールスドライバーが配送先の女性と恋仲になれるなどとは思っていないが、俺は毎週何回か金丸さんの自宅に配送をして彼女の顔を見られるのが楽しみになっていた。
朝早くから夜遅くまで東京都内をトラックで走り回り、たまの休日にはスポーツジムに入り浸ってご高齢の男女と親交を深めているようでは彼女ができないのも当然というものだろう。
同僚からはせめてマッチングアプリでもやれと勧められているが、まだ20代である今は気ままな独身生活を謳歌したいというのが正直な所だった。
そんな俺にも、密かに想いを寄せている女性というのはいる。
「どうもー、パリ急便です。お荷物お届けに伺いました」
『あっ、佐川さんですね。ロック解除します』
高級マンションの入り口のインターホンを鳴らすと、その女性はいつもの清らかな声でオートロックを解除してくれた。
毎回何が入っているのかは知らない重い荷物の段ボール箱を抱えてエレベーターに乗り、玄関先まで歩くと彼女は俺がインターホンを鳴らす前にドアを開けてくれた。
「お疲れ様です、金丸です。いつもありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそすぐ開けて頂いて助かります。ただ、若い女性だと色々危ないので玄関ドアはインターホンを鳴らしてから開けて貰えば大丈夫ですよ。お気遣いすごく嬉しいですけど」
「そうですね……その、早くお兄さんの顔を見たいなって思っちゃって。確かに不用心ですよね」
高めの背丈と腰まで届く黒髪ロングヘアに部屋着とは思えないほどお洒落な洋服を身にまとっているのは|金丸《かなまる》|志信《しのぶ》さんという若い女性で、俺は名前と住所しか知らないがここで一人で暮らしているらしかった。
平日の昼間でも普通に配送を頼まれるのでどうも家事手伝いとか引きこもりと呼ばれる女性らしかったが、俺はこの美しい女性と会って話すのがいつも楽しみだった。
若い女性の一人暮らしというと配送員に警戒する人も多い中で金丸さんはいつも笑顔で玄関ドアを開けてくれて、たまにはちょっとした世間話をしてくれる仲になっていた。俺より歳下だからなのか、彼女は俺のことを「お兄さん」と呼んで慕ってくれていた。
当然セールスドライバーが配送先の女性と恋仲になれるなどとは思っていないが、俺は毎週何回か金丸さんの自宅に配送をして彼女の顔を見られるのが楽しみになっていた。