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東京佐川お兄さん事件 引きこもりお嬢様の誰にも言えない秘密
第1章 第1話 夏真っ盛りに春が来た
 完成させた物置は広さの割に家具が少ないリビングの端に設置することになり、仕事を終えた俺は組み立て作業で残ったゴミを段ボール箱に戻すと金丸さんにピシッと頭を下げた。

「それでは今日はありがとうございました。撤収させて頂きますね」
「こちらこそありがとうございました。……あの、実は……」

 再び羽織物を着た金丸さんは俺に茶色の封筒を渡し、その表面にはメッセージアプリのIDが書かれていた。

「これは……?」
「その、ずっと言い出せなかったんですけど、私お兄さんのことが好きなんです。良かったら今度個人的にお会いできませんか? ご迷惑だったら結構ですので」
「そ、それはすごく光栄ですけど……本当にいいんですか?」
「ええ、まずはお友達からお願いします。お会いして頂けるならそちらのIDにご連絡ください」

 俺はしどろもどろで分かりました、と言うとそそくさと金丸さんの自宅を後にし、段ボール箱を駐車場に停めていたトラックに片付けると金丸さんから貰った封筒を開封した。
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