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東京佐川お兄さん事件 引きこもりお嬢様の誰にも言えない秘密
第2章 第2話 繊細な彼女の事情
 俺に最後に彼女がいたのは高校2年生の頃だが、それから約10年ぶりのデートとなると何もいいアイディアを思いつかなかった。

 金丸さんとはあれから喫茶店や小料理屋で何回か食事をして、お互い気の合う関係になれそうだったので俺の仕事がない平日に昼からデートに出かけることになっていた。

 高校生の頃のままの発想で映画でも見に行きませんかと聞くと金丸さんは喜んでくれて、最近人気のゴジラの映画を2人で見た。


「映画すっごく面白かったですね。私特撮ってほとんど見たことなかったんですけど全然楽しめました」
「俺もゴジラは初めてだったんですけど最高でした。また今度配信でシンウルトラマンの映画でも見ますか?」

 予約していた洋食店で金丸さんは笑顔で映画の感想を語り、彼女はやはり25歳の無職女性だったと付き合い始めてから知ったが他人とのコミュニケーションに難がある訳ではないと分かって俺は安心していた。

 まだ親御さんのお仕事などは聞いていないが金丸さんはチキンソテーをナイフとフォークで食べていく手つきもとても上品で、高級マンションで一人暮らしできるだけあって育ちの良いお嬢様であることは間違いないようだった。

「この後どこか行きます? この辺の地理あんまり詳しくないんですけど」
「私も普段はあまり出かけないのでどこ行けばいいか分からないです。でも今日はお兄さんともっと遊んでいたいです……」
「ありがとうございます。じゃあ高校生みたいで恐縮なんですけどカラオケ行きませんか? 俺結構好きなんですよ」
「いいですね。私カラオケもほとんど行ったことないんですけど音楽は割と好きなんですよ。ぜひ連れてってください」

 金丸さんはやはり打ち解けやすい雰囲気でカラオケに一緒に来てくれることになって、俺はここに来る途中で見かけた行きつけのカラオケボックスのチェーン店に彼女を案内することにした。

 食事代は俺が払いますと言ったが金丸さんは一応社会人なので割り勘でと言い張り、では付き合ってくれるお礼にカラオケ代は俺が持ちますよと伝えて俺は金丸さんと一緒に洋食店を出た。
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