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君が目覚めるその時に
第2章 琉華
屈んで拾おうとすると「あ!いいです!いいです!」とさっきの声がして、落ちたものと同じものが差し出された。
琉華はそこで初めて声の主に目を向ける。
(…わ…)
――すごくイケメン…という言葉は辛うじて飲み込んだ。
そこにいたのは同じ年くらいだろうか…真っ白なワイシャツに黒とグレーのベストを合わせた長身の男性が立ち、琉華に済まなそうな顔を向けていた。
「すみません。いきなり俺がコレを突き出してしまって…」
その男性が差し出していた“コレ”とは、手のひらに収まるくらいの透明の小袋に入れられた何かの試供品のようなものだった。
淡いピンク色の可愛いリボンがついているところを見ると女性用なのだろう。
受け取ろうかどうか迷っていると彼はハッとするほど明るい笑顔を琉華に向けた。
「どうぞ!化粧水のサンプルですっ」
「化粧水…ですか?」
彼の眩しいくらいの笑顔に不審な気持ちは消え、思わず受け取る。
リボンの端を持ち上げて中身を見ていると、彼は先ほど落としてしまったサンプルを拾っていた。
「あっ!それ…私、それでいいです」
慌てて手の中のサンプルを差し出すと、今度は目の前にズイッと籠が突き出された。
「ほらっ!たくさんありますから大丈夫です。こんなに綺麗な女性に落としたものを差し上げるわけにはいかないし、何より無遠慮に渡そうとした俺が悪いんだから気にしないでください!」
「…そんな…」
(私が考え事をしてて前を見てなかっただけなのに…)
少し迷ったけれど彼がニコニコとしているので、ありがたく受け取ることにした。
琉華はそこで初めて声の主に目を向ける。
(…わ…)
――すごくイケメン…という言葉は辛うじて飲み込んだ。
そこにいたのは同じ年くらいだろうか…真っ白なワイシャツに黒とグレーのベストを合わせた長身の男性が立ち、琉華に済まなそうな顔を向けていた。
「すみません。いきなり俺がコレを突き出してしまって…」
その男性が差し出していた“コレ”とは、手のひらに収まるくらいの透明の小袋に入れられた何かの試供品のようなものだった。
淡いピンク色の可愛いリボンがついているところを見ると女性用なのだろう。
受け取ろうかどうか迷っていると彼はハッとするほど明るい笑顔を琉華に向けた。
「どうぞ!化粧水のサンプルですっ」
「化粧水…ですか?」
彼の眩しいくらいの笑顔に不審な気持ちは消え、思わず受け取る。
リボンの端を持ち上げて中身を見ていると、彼は先ほど落としてしまったサンプルを拾っていた。
「あっ!それ…私、それでいいです」
慌てて手の中のサンプルを差し出すと、今度は目の前にズイッと籠が突き出された。
「ほらっ!たくさんありますから大丈夫です。こんなに綺麗な女性に落としたものを差し上げるわけにはいかないし、何より無遠慮に渡そうとした俺が悪いんだから気にしないでください!」
「…そんな…」
(私が考え事をしてて前を見てなかっただけなのに…)
少し迷ったけれど彼がニコニコとしているので、ありがたく受け取ることにした。