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ハッテンlove
第3章 heart+heart
体育は、隣のクラスと合同で行う。
今日はバレー。午後ということもあり、なんだか眠い。

でもその眠気を吹き飛ばすような轟音がコートの中から聞こえた。
超高校生級のバックアタック――放ったのは、この光景がおなじみとなった姫野葉月。

いや…。おなじみっておかしいから。
あの低身長で、あの打点の高さからのバックアタック……普通に考えてみろ。あり得ない身体能力だろ。

隣のクラスの連中も、うちのクラスのバレー部の山根も、そんな姫野を熱い視線で見つめる。
姫野は、あの球技大会以降、この高校の運動部からの注目が最も高い人物となった。

昼休みになると、必ずバスケ部のキャプテンが、可愛いジャーマネを引きつれて姫野のスカウトに努める。
バレー部も同様。陸上部からも勧誘があったらしい。

俺も先輩から言われた。あの体格だから、他の部ほど真剣じゃないけど。でも、もしかすると、体格のハンデを跳ねのけるくらいのポテンシャルを感じる。

実際、姫野はすげー。
身体能力も然ることながら、バスケのone on oneで散々見てきた恐るべき闘争心。
ちっこい姫野が放つオーラは、これまで対戦してきたどの選手のものよりも強烈なものだった。俺もぜってー負けないって思ったから、全く引かなかった。最後は殺気さえも芽生えるほどの熾烈な戦いとなった。

姫野はここぞと言う時の判断能力と、メンタルの強さも凄い。これで運動経験がほぼゼロというのが信じられない。


「姫野あいかわらずだね。あんなに目立ちたくないって言ってたのに…」

欠伸をしながら悠真が呟く。
悠真を見ていると複雑な気持ちになる。

悠真と姫野の間には、よくわからない関係がある。
悠真とは小学校の時からの付き合いだから、性格はよく知っている。

俺の知っている悠真は、自分に惚れている相手に、思わせぶりな態度をするヤツじゃない。告白されても毎度きっぱりと断ってきた。

なのに、姫野はどうなんだろう…。



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