この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ハッテンlove
第5章 友達
東の空が段々と明るい光に包まれた頃。
僕はようやく山を抜け、田園風景が広がる舗装路に出ることが出来た。
田んぼを抜けたら民家がある。
でもいったいここはどこだろう?
足を引きずりながら歩いていると、向かい側から若い男がジョキングをしているのが見えた。
途中、木の枝で肌を切られたり、転げ落ちてすりむいたりしたから、いたるところが傷だらけの泥だらけ。
ガイジン美少年が傷だらけとは。なんかみじめな姿…。
俯いて足を引きずるように歩いていたら、手前でそのジョキングの足音が止まった。
「姫野!?」
顔を上げると、そこには二宮くん。
「なにしてんの姫野!?なんでそんなに泥だらけの血まみれなの!?」
二宮くんは驚愕のあまり固まってる。しばらく僕が黙っていたら、僕の前で屈んだ。
「とりあえず、おんぶしてあげるから。俺の家まで行こう。すぐ近くだから」
「……」
「早く早く」
促されたから二宮くんの背中にしがみつく。僕という重しを背負いながら、もと来た道を引き返す。
そうか…。ここは二宮くんの家の近くなのか。ということは、近藤くんの家も近い。
サバイバルを抜け、知り合いに会えたからなのか、ぽろりと僕の目から涙が零れて溢れてきた。
怖かった…。
泣いている僕を背負いながら、二宮くんは無言だった。
住宅地に入ると、犬の散歩をしている人達とすれ違う。そのうちの一人、柴犬を連れた華奢な女の子が二宮くんに目を留めた。自然と視線は背中の僕に向かう。泣いているのを見られるのが嫌だから、肩に顔を埋めた。
「おはよ…」
「おはよ。ごめん、急いでるから」
女の子の挨拶に余裕のない声でそう返すと、二宮くんはオシャレな一軒家の前で僕を下ろした。そして門を開けると僕を手招きする。
「ここ俺んち」
僕を先に家の中に入れてくれた。
玄関のど真ん中に、黒い猫がでかい顔して座っている。二宮くんが「ランマル、お客さん」と言うと、僕の方を向いて「ミャア」と啼いた。
猫が僕の足元にすり寄ってくる。その温かさを感じていたら急に眠く…。
「二宮くん…僕……眠……」
そういや、一睡もしてなかったっけ。
いきなり上がり込んだ人の家でなにやってんの?って感じだけど。
僕は崩れ落ちるように玄関で意識を失ってしまったのである。
僕はようやく山を抜け、田園風景が広がる舗装路に出ることが出来た。
田んぼを抜けたら民家がある。
でもいったいここはどこだろう?
足を引きずりながら歩いていると、向かい側から若い男がジョキングをしているのが見えた。
途中、木の枝で肌を切られたり、転げ落ちてすりむいたりしたから、いたるところが傷だらけの泥だらけ。
ガイジン美少年が傷だらけとは。なんかみじめな姿…。
俯いて足を引きずるように歩いていたら、手前でそのジョキングの足音が止まった。
「姫野!?」
顔を上げると、そこには二宮くん。
「なにしてんの姫野!?なんでそんなに泥だらけの血まみれなの!?」
二宮くんは驚愕のあまり固まってる。しばらく僕が黙っていたら、僕の前で屈んだ。
「とりあえず、おんぶしてあげるから。俺の家まで行こう。すぐ近くだから」
「……」
「早く早く」
促されたから二宮くんの背中にしがみつく。僕という重しを背負いながら、もと来た道を引き返す。
そうか…。ここは二宮くんの家の近くなのか。ということは、近藤くんの家も近い。
サバイバルを抜け、知り合いに会えたからなのか、ぽろりと僕の目から涙が零れて溢れてきた。
怖かった…。
泣いている僕を背負いながら、二宮くんは無言だった。
住宅地に入ると、犬の散歩をしている人達とすれ違う。そのうちの一人、柴犬を連れた華奢な女の子が二宮くんに目を留めた。自然と視線は背中の僕に向かう。泣いているのを見られるのが嫌だから、肩に顔を埋めた。
「おはよ…」
「おはよ。ごめん、急いでるから」
女の子の挨拶に余裕のない声でそう返すと、二宮くんはオシャレな一軒家の前で僕を下ろした。そして門を開けると僕を手招きする。
「ここ俺んち」
僕を先に家の中に入れてくれた。
玄関のど真ん中に、黒い猫がでかい顔して座っている。二宮くんが「ランマル、お客さん」と言うと、僕の方を向いて「ミャア」と啼いた。
猫が僕の足元にすり寄ってくる。その温かさを感じていたら急に眠く…。
「二宮くん…僕……眠……」
そういや、一睡もしてなかったっけ。
いきなり上がり込んだ人の家でなにやってんの?って感じだけど。
僕は崩れ落ちるように玄関で意識を失ってしまったのである。