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人妻愛人契約
第7章 移りゆく季節の中で~春、パンドラの箱
身体が凍り付いたように固まった。

「失礼します」

ドアが開き、沙耶が入ってきた。

「お茶をお持ちしました」

お盆に載せて運んできたお茶を机の上に置いた。

「あ、ありがとうございます」

画面をじっと見つめたまま祐樹は答えた。

「どうでしょうか。直りますでしょうか」

沙耶が顔を寄せてくる。祐樹は慌ててフォルダを閉じた。

「少し時間がかかりそうです」

考えるより早く口から言葉が出ていた。

「そうですか」

「はい。干渉してるアプリの構造が複雑で、システムファイルにも手を加えなければいけないようなんです」

「はあ」

「できれば今日中に終わらせたいので、ちょっと集中してやりたいんですが……。そうですね、2時間、いや3時間くらいかな、僕がいいと言うまで一人にしてもらえるとありがたいんですけど」

「わかりました。誰もこの部屋には入らないようにします」

「助かります」

「あまり根詰めて、お身体を壊さないでくださいね」

沙耶は微笑むと、ではごゆっくり、と言って部屋から出て行った。

祐樹は立ち上がると、ドアのところへ行き、内側から鍵を掛けた。

「これでよし」

再び椅子に座り、マウスを握った。

若干の罪悪感はあったが、好奇心がそれを上回っていた。

祐樹は、期待と不安を胸に一番上にあるファイルをクリックした。
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