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人妻愛人契約
第3章 初めての夜
希実さんだって気持ちいいことをしている――その言葉に祐樹はハッと我に返った。希実は、好きでしてるわけじゃない。みんなのため、家族のためにしてるんだ。それなのに自分が希実との約束を裏切るようなことをしてしまっていいのか。
祐樹は、気力を絞り出すように頭を左右に振ると、ガバッと身体を起こし、沙耶の身体を脇にどけた。
「やっぱりダメです」
はぁはぁと息を切らしながら、ハッキリと意志を示すように沙耶の顔を見つめる。
沙耶は、ちょっと意外という顔をしたが、それ以上無理をしようとはしなかった。片腕を使って胸を隠した。
「私が嫌いですか? 魅力がありませんか?」
「そんなことないです。とても魅力的だと思います」
祐樹は、申し訳なさそうに頭を振った。
「だったら、どうして……」
「僕は、希実と約束したんです。誰とも浮気はしないと。だから、ごめんなさい。沙耶さんと、こういうことはできません」
祐樹は、頭を下げた。
「真面目なんですね」沙耶は、フッと口元を緩めた。「でも、それがいいんでしょうね。希実さんが、あなたを好きになった理由がわかるような気がします」
沙耶は立ち上がると、箪笥から薄青地に撫子の柄の浴衣を取り出し、袖を通した。落ちていた赤い帯を拾って、細いウエストにキュッと締めると、そのまま部屋を出ていこうとした。
「待ってください」
祐樹が引き止めた。
沙耶は振り返えると、冷たい視線を祐樹に送った。
「女に恥をかかせておいて、何かご用意がおありですか?」
「聞きたいことがあるんです。さっき、希実が三河屋さんと気持ちいいことをしてるって言ってましたが、希実は……その……三河屋さんとして、気持ちよくなると思いますか」
「気になりますか」
祐樹は頷いた。そして、憐れみを乞うような目で沙耶の顔を見上げた。
しかし、沙耶は、フフッと微笑むだけで答えてはくれなかった。一言、お休みなさい、と言って出て行ってしまった。
ドアが閉まると、祐樹は、ガックリと頭を垂れた。
再び一人になった。心の苦しさも身体の苦しさも治まっていない。沙耶に刺激されたせいか、身体が火照って、むしろ苦しさは増していた。
早く夜明けが来て欲しい――そう思いながら、悶々と眠れない夜を過ごした。
祐樹は、気力を絞り出すように頭を左右に振ると、ガバッと身体を起こし、沙耶の身体を脇にどけた。
「やっぱりダメです」
はぁはぁと息を切らしながら、ハッキリと意志を示すように沙耶の顔を見つめる。
沙耶は、ちょっと意外という顔をしたが、それ以上無理をしようとはしなかった。片腕を使って胸を隠した。
「私が嫌いですか? 魅力がありませんか?」
「そんなことないです。とても魅力的だと思います」
祐樹は、申し訳なさそうに頭を振った。
「だったら、どうして……」
「僕は、希実と約束したんです。誰とも浮気はしないと。だから、ごめんなさい。沙耶さんと、こういうことはできません」
祐樹は、頭を下げた。
「真面目なんですね」沙耶は、フッと口元を緩めた。「でも、それがいいんでしょうね。希実さんが、あなたを好きになった理由がわかるような気がします」
沙耶は立ち上がると、箪笥から薄青地に撫子の柄の浴衣を取り出し、袖を通した。落ちていた赤い帯を拾って、細いウエストにキュッと締めると、そのまま部屋を出ていこうとした。
「待ってください」
祐樹が引き止めた。
沙耶は振り返えると、冷たい視線を祐樹に送った。
「女に恥をかかせておいて、何かご用意がおありですか?」
「聞きたいことがあるんです。さっき、希実が三河屋さんと気持ちいいことをしてるって言ってましたが、希実は……その……三河屋さんとして、気持ちよくなると思いますか」
「気になりますか」
祐樹は頷いた。そして、憐れみを乞うような目で沙耶の顔を見上げた。
しかし、沙耶は、フフッと微笑むだけで答えてはくれなかった。一言、お休みなさい、と言って出て行ってしまった。
ドアが閉まると、祐樹は、ガックリと頭を垂れた。
再び一人になった。心の苦しさも身体の苦しさも治まっていない。沙耶に刺激されたせいか、身体が火照って、むしろ苦しさは増していた。
早く夜明けが来て欲しい――そう思いながら、悶々と眠れない夜を過ごした。