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人妻愛人契約
第4章 移りゆく季節の中で~夏、悪い夢
温泉の修理が終わり、良泉館は再スタートを切った。
その初日、頼みもしないのに善一は、手伝う、と言ってサンガの社員を2人連れてやって来た。自社のバスを使って、湯めぐりの客を温泉街の中心から良泉館に送迎するという。
「しっかり稼いでお金を返してもらわないといけないですからね」
そう言って善一はガハハハと笑った。
「ありがとうございます。助かります」
希実は丁寧に頭を下げた。
病み上がりの慎吾も出てきて、事務所全体を見渡せる神棚の隣にふくろうの置物を置いた。
「商売繁盛の縁起物ですからね」
久しぶりに笑顔を見せた。
せっかくだから、と希実の提案で始業前に従業員全員で集まることになった。
祐樹は、こういうことが苦手だったが、社長だからしかたがない。しどろもどろに「今日から良泉館は再スタートします。がんばりましょう」と挨拶した。次に慎吾が「しっかりやりましょう」とみんなに発破をかけた。
そして希実。薄浅黄色に小花模様をあしらった着物を身に着け、スッと立った姿は、気品があり、とても美しかった。
希実は、良泉館についての幼い頃の思い出を話した。慎吾や古くからの従業員の名前を一人ひとり上げて、簡単なエピソードに感謝の言葉を添えていく。慎吾は目を腕で隠して泣いていた。最後に、
「ここにいる全員の話をしたいけど、時間がないからやめるね。でも、本当に皆さんには感謝しています。今日一日だけではなく、これからもずっと、祐樹のこと、わたしのこと、そして愛未のことを支えてください」と言って頭を下げたあと、「明るく、元気に、楽しく仕事をしていきましょう。いくぞー!」と右手の拳を突き上げた。希実らしい明るい挨拶だった。
その初日、頼みもしないのに善一は、手伝う、と言ってサンガの社員を2人連れてやって来た。自社のバスを使って、湯めぐりの客を温泉街の中心から良泉館に送迎するという。
「しっかり稼いでお金を返してもらわないといけないですからね」
そう言って善一はガハハハと笑った。
「ありがとうございます。助かります」
希実は丁寧に頭を下げた。
病み上がりの慎吾も出てきて、事務所全体を見渡せる神棚の隣にふくろうの置物を置いた。
「商売繁盛の縁起物ですからね」
久しぶりに笑顔を見せた。
せっかくだから、と希実の提案で始業前に従業員全員で集まることになった。
祐樹は、こういうことが苦手だったが、社長だからしかたがない。しどろもどろに「今日から良泉館は再スタートします。がんばりましょう」と挨拶した。次に慎吾が「しっかりやりましょう」とみんなに発破をかけた。
そして希実。薄浅黄色に小花模様をあしらった着物を身に着け、スッと立った姿は、気品があり、とても美しかった。
希実は、良泉館についての幼い頃の思い出を話した。慎吾や古くからの従業員の名前を一人ひとり上げて、簡単なエピソードに感謝の言葉を添えていく。慎吾は目を腕で隠して泣いていた。最後に、
「ここにいる全員の話をしたいけど、時間がないからやめるね。でも、本当に皆さんには感謝しています。今日一日だけではなく、これからもずっと、祐樹のこと、わたしのこと、そして愛未のことを支えてください」と言って頭を下げたあと、「明るく、元気に、楽しく仕事をしていきましょう。いくぞー!」と右手の拳を突き上げた。希実らしい明るい挨拶だった。