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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第1章 お天気ねえさん
「本番、5秒前!4、3…」
そこまで声高々に読み上げておいて、
2と言わずに声をあげずに指でVサインを出す。
続けて中指を折って1秒前だと示した後、
手首をクルリと返して「どうぞ」と言わんばかりにキャスターに向かってポーズを取る。
フロアのディレクターの毎度の合図で
MCのアナウンサーが、こっちのカメラですよと合図のために赤色ランプが灯った2号カメラに向かって「おはようございます」と元気よく挨拶をして、深々と頭を下げた。
『今日も無事に始まったわ…』
タイムキーパーを兼ねるAD(アシスタントディレクター)の下村圭子は「カチッ」っとストップウォッチをスタートさせた。
圭子はアナウンサーを目指して各局に志望を提出したけれど、いずれの局も書類選考で落とされた。
こうもあからさまに拒否されると
自分には向いていないかと落ち込んでしまう。
そんなしょげかえっている時に一社から
「派遣でよかったら番組製作のお手伝いをしてみないか?」と声が掛かった。
第一志望はアナウンサーだけれど、
番組製作にも興味があった圭子は二つ返事でその話しに乗っかった。
華やかなバラエティー番組を担当させて貰えるのかと思いきや、
圭子が派遣されたのが、早朝番組の「おはおはジャパン」という番組だった。