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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第1章 お天気ねえさん
早朝番組は苛酷を極めた。
朝の5時スタートの番組は
遅くても3時間前から打ち合わせなどがあり、
いつも深夜の局入りということで
すっかり朝晩が逆転する生活リズムを嫌でも求められた。
おまけに早朝ということで
視聴率などは言葉にするほど恥ずかしい数字だ。
女子アナとしてスポットライトを浴びて
有名人とお近づきになって
あわよくば玉の輿に乗ろうという甘い考えは、現実を見せつけられたようで圭子の夢は22歳にして早々と砕け散った。
「こんな朝早くからテレビをつけているのは
百姓のじじいとばばあだけだぜ!」
ブツブツと文句を言うディレクターの木ノ下進一の言葉を聞いて、お上の耳に入ったらコンプライアンス違反で地方局へ飛ばされますよと
圭子は気づかれないように進一を睨み付けた。
「みんなもやってられないだろ?
こうして業界に首を突っ込んだからには
ゴールデンの番組を担当したいよなあ」
指令ブースで文句をタラタラ言われているとも知らず、スタジオのアナウンサーは誰に向かってでもなく、爽やかな笑顔を振り撒いていた。
そんな折、
メイク室からメイク係の女性が調整ブースに飛び込んできた。
「おいおい、部外者は入ってくんな!」
木ノ下は血相を変えてその女性を罵倒した。
「すいません!でも…お天気担当のフリーアナウンサーの木の葉みどりさんがまだ来てないんです!」
「何だって?!」
お天気コーナーは
この後、15分後に迫っていた。