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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第14章 還暦女が掴んだ幸せ

「もう!準ったら呑気ね!
幸恵さん、メイドを辞めちゃうのよ!」

「へえ~…そりゃまたどうして?」

物心ついてから
ずっとこの屋敷に幸恵が居たものだから
幸恵を叔母のように慕っている準も目を丸くして驚いた。

「ここを辞めて、どこかの男と所帯を持ちたいのだそうだ」

久が息子に伝えている間も
幸恵は顔を真っ赤にしてうつむいていた。

「そりゃめでたいじゃないですか!
で、幸恵、お前を射止めたのはどこのどいつだい?」

ほとんど屋敷から出掛けることもない幸恵なのだ。
きっと、屋敷に出入りする食材調達の業者の誰かなのだろうと準は想像した。

「お坊っちゃまもご存じの殿方でございます…」

はて?それは誰だろう?
屋敷に出入りする業者とは顔を合わせたこともないし…

「僕の知っている男?
はて、心当たりはないけどな…」

誰なんだよ、もったいぶらないで白状しなよと
準が問い詰めると、幸恵はモジモジしながら
「あの撮影旅行のメンバーだったカメラマンの男性でございます」と白状した。

「ええっ?!あいつ?
いや、ちょっと待てよ!あいつは僕と同年代じゃないか!」

「何だって?」

「まあ!」

息子の準と同年代の若い男?
浅香夫妻もそれを聞いて腰を抜かすほどに驚いた。

「まあ、あいつも見る目があるってもんだよ
だって、そうだろ?
幸恵なら、きっといい奥さんになれるさ」

準の言葉にハッと我に返った久も
「そうだな、お互いに好き合っているんなら歳の差なんて関係ないしな」と
一度だけだが肌を重ねた幸恵を奪われる事に
ほんのちょっぴり寝取られた気分になっていた。

「そうね…歳の差なんて関係ないものね」
瑠璃子もまた、先日に海外旅行した時に抱かれた異国の男性の事を思い出していた。


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