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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第15章 青天の霹靂
翌朝、浅い眠りから目覚めると
すでに幸恵はベッドを抜け出して
世話になった浅香家のために最後の朝食を作り始めていた。
「幸恵さん…おはようございます
泊めていただいたお礼に私も手伝います」
急いで洗顔を済ますと
圭子は幸恵と並んでキッチンに立ち
盛り付けやら食器のテーブルに並べて行った。
『この子…若いのに手際がいいわ』
二十代半ばのOLなら
まだまだ男と遊びたい盛りだろうし
セックスこそ上手だけれど料理もろくに作れないような女が大半だと言うのに圭子の健気な姿に幸恵は感心した。
「ねえ、圭子さん。
あなた、グラビアモデルをこれからも続けていくの?」
「そのつもりだったんですけど…
どうやら大手事務所に目の敵にされたようで
仕事を干されそうなんです」
なるほど…だからお坊っちゃまに救いの手を求めてやって来たのね
幸恵に一つの妙案が思い浮かんだ。
やがて浅香夫妻の久と瑠璃子が二階の自分達の寝室からダイニングルームに降りてきた。
「幸恵…いよいよお別れの時がやって来たね」
25年も共に暮らしてきたのだから
結婚するためにこの家を出ていく幸恵に
喜んで送り出さなければいけないのに
なぜだか久はちょっぴりセンチメンタルになった。
そして、ふと幸恵の背後にいる女性に気づいた
「おや?そちらはどちら様かな?」
「ご挨拶が遅れました
私、テレビ局で働いていた時に浅香 準さんに懇意にしていただいていた下村 圭子です」
浅香夫妻とは下着サンプルが
何かの手違いでテレビ局に届かなかった時に
このお屋敷を訪問して旅行から帰ってきたご夫妻にご挨拶を済ませて圭子は面識があったものの
どうやら浅香夫妻は圭子の事など忘れているようなので、今一度、丁寧な挨拶をした。