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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第16章 玉の輿
幸恵さんの後釜として
浅香家のお世話になって一週間が過ぎようとしていた。
幸恵さんから
『これ、このお屋敷のお世話をする際の細やかなことを書いてあるから、困った時は読み返してみてね』と業務日誌のようなものを引き継いだけれど、
実際は、その日誌に書かれていない事の方が多くて、臨機応変にこなさければいけない仕事の方が多かった。
それに、せっかくこのお屋敷で住み込みで働くようになったというのに、一番頼りたい息子さんの準さんは、圭子の後ろ楯になってあげることができなかったという引け目からか、極力、圭子と顔を合わすのを避けているようだった。
「どう?メイドのお仕事には慣れたかしら?」
幸恵に出ていかれて
家族の食事の用意や家事全般をしなければいけないと覚悟をしていた瑠璃子は、圭子が来てくれて事のほか喜んでくれていた。
「ええ、メイドというよりはお手伝いさんの役目の方が大きくて、それなりに重労働ですし、幸恵さんはよく25年も勤められたものだわと感心するしかありませんわ」
「ほほほ…本当にねえ…
ここの男たちは勝手ばかりするものだから
小さな男の子が二人いるようなものでしょ?
あなたが幸恵さんの後継を引き受けてくれなかったらどうしようかと思っていたのよ」
「おいおい、人を子供扱いするなよ」
リビングでブランデーを嗜んでいた久が
瑠璃子と圭子の会話に聞き耳を立てて
子供だと言われたことに憤慨した。
「あら?だって旦那様ったら
小さな子供みたいに脱ぎ散らかすし
食事の好き嫌いも多いんですもの」
言うべき事をちゃんと言ってくる圭子に
本当に幸恵そっくりだなと感心した。