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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第16章 玉の輿

「そのうち圭子さんに
一緒に風呂に入って背中を流せだの無理を言ってくると思いますわよ」

「ちょ、ちょっと!
いつ私が幸恵にそんなことを頼んだと言うんだい!」

「あら?バレていないとでも思っていたの?
女同士って意外と連係を密にしているのよ
幸恵は、あなたにこんなことをされたとか、
あんなことを言い出したとか
すべて私に報告してくれていたんですからね」

うへっ!
それじゃあ、幸恵を抱いたことさえ筒抜けなのか?
まさかな、いくらすべてを報告していたとは言え
そんなことまであからさまに喋ってはいないだろ…

そう思いながら
チラッと瑠璃子の顔を見つめると
彼女は意味深な笑みを浮かべて『このドスケベ野郎!』となじっているようで久は悪酔いしそうになって「え、えっと…深酒は体に毒だな…今夜はこの辺で休むとするか…」と瑠璃子の視線から逃げるように席を立とうとした。

「あなた、お待ちなさい、大事な話があるのよ」

逃げ去ろうとする久に瑠璃子が『待った!』をかけたものだから、久はおとなしくもう一度ソファに腰を降ろした。

「言っておくが、幸恵とは後ろ指をさされる関係ではなかったんだからね」

「わかっているわよ
そんなことはどうでもいいの
問題は準の事よ」

準の名前が出たことで圭子は
瑠璃子にお茶を入れてテーブルに置く手が震えて
ガチャガチャとティーカップを音を立てて鳴らしてしまった。

「あの…折り入ったお話なら
私、席を外しましょうか?」

「いいのよ、あなたにも聞いてもらいたし…
でも、メイドとして守秘義務があることも忘れないでね」

守秘義務が生じるような話ならば
なおのこと、この場から立ち去りたいと圭子は冷や汗を流し始めた。


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