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結子の場合
第1章 出来心で
なんでこんな事になったのだろう?
私は右手でゆっくりと由悠季(よしゆき)の大きなペニスをしごく。
夫とは比べ物にならないくらいのとてつもない量のねっとりとした先走り液が私の手にぬるぬるとした感触を与え続ける。
人差し指で亀頭をそっとなぜると目隠しをした由悠季の口元から「あっ」と快感の吐息が漏れる。
肩までのウィッグをかぶり、薄っすらと化粧をしている。女物のニットをたくし上げて乳首をあらわにしている由悠季はまるで本当の女のようにあえいでいた。
ただ、その股間にある巨大なペニスは由悠季が紛れもないオトコであることを示していた。

なんでこんな事になったのだろう?

きっかけはホンの出来心から登録した出会い系アプリだった。毎日、子供と夫を送り出し、掃除や洗濯をし、買い物をし、帰ってきて夕食の準備をする。毎日同じ。
夫に不満はない。子供たちも健やかに育っている。なんら不自由はなかった。

だけど、刺激もなかった。
ホンの出来心だった。そんな世界がある、と知って、ちょっと覗いてみたくなった。

そのアプリには掲示板、日記、プロフィール検索などがある。
私はプロフィールの登録をした。

「30代半ば 既婚者」

さて、どう書いたものか?
大人の関係、という項目は選べなかった。浮気や不倫をするつもりはないからだ。
「メールを交換」?「同じ趣味」?
うーん。
迷った挙げ句。ほとんどプロフィールは埋めないで登録を済ませた。

しばらくは日記を見たり、男性のプロフィールを見たりしていた。
普通の投稿に混じっている、アダルト系の投稿にはドキドキした。
『こんなに・・・』
男性も、女性も大胆に自分の性生活を書いている人がいる。読むだけで赤面してしまうような内容。
モザイクの奥に縛られて悶ているだろう下着姿の女性の姿・・・想像するだけでドキドキしてしまう。

こんなふうにして、私の中でアプリをこっそりと見るのが日課になり、そして、すぐに自分も当たり障りない日記を書くようになった。
日記にコメントや反応があると嬉しい。たまにHな内容の返信もあるが、そんなに不快ではなかった。むしろ、まだ自分も「女」として見られているのではないかと思え、嬉しくもあった。
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