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官能能力者 あおい
第20章 休日のあおいちゃん
それは、

牧村雄一

という作家さんだった。ああ、この人の名前も知っている。
確か、農林水産省のエリート官僚だったが、その傲慢な性格で林野庁に左遷された落ちぶれ役人と、現場で樹を守ることを生きがいにしている樹木医が、相互反発しながらも協力しあい、日本の象徴であるソメイヨシノを絶滅に追いやろうとする謎の奇病に立ち向かうとかいう話だった。
やっぱり、こういう感じの科学がからんだお話が好きなんですね・・・。

メモメモ・・・。
私は心の手帳にしっかりメモする。

あ、また移動した。
次に委員長が立寄ったのは、

え?

黒地にピンクの斜め線が入った背表紙が並ぶ書棚。
書棚の上部には「あかつき文庫」というレーベル名。

あれって・・・あれって・・・!

委員長は先程までと変わらない様子で、書棚から何冊か抜き取っては裏表紙を確認したり、パラパラと捲ったりする。

え・・うそうそ!

そう、公英社の「あかつき文庫」とは透子さんが担当しているレーベル。ジャンルは官能小説だと言っていた。

官能小説って、えっちなやつだよね?
これは、とってもいけないことを目撃してしまっているのではないだろうか・・・。

ごくり・・・と我知らず、息を呑んでしまう。
見ちゃいけないのだろうけど、目が離せない。
あの委員長が、えっちな小説を・・・。

しばらく見ていると、何冊かめくってみて、最終的には平積みされているものの1冊を手に取った。
一瞬見えた表紙には、黒い下着姿の豊満な女性が艶かしく横たわっている絵が・・・。
それをそのまま小脇に抱えて委員長は棚を離れた。

私はそっと「あかつき文庫」の棚に近づく。

並んでいる背表紙を見てみる。
「愛欲母ーボクのちんぽで犯されて」
「雌堕ち秘書のエッチなおつとめ」
「性夜の宴ー淫獣が清純女子高生を嬲り尽くす」

・・・。
すごい・・・。
見ているだけで、あそこがじゅんじゅんしてくる。
平積みになっているやつ、これが委員長が買ったやつかな・・・?

「清純彼女を淫語調教ー淫らに堕ちて」

そっと、手にとってみる。
表紙には黒い下着を身に着け、羞恥に顔を染めた女性が、それでも物欲しそうにこちらを見上げているようなイラストが描かれている。
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